April 17, 1997 Vol. 336 No. 16
ベッドサイドでの症例呈示が患者の医療の受け止め方に及ぼす効果
THE EFFECT OF BEDSIDE CASE PRESENTATIONS ON PATIENTS' PERCEPTIONS OF THEIR MEDICAL CARE
L.S. LEHMANN, F.L. BRANCATI, M.-C. CHEN, D. ROTER, AND A.S. DOBS
ベッドサイドでの症例呈示は患者を不快にする可能性があるという懸念のため,多くのレジデントプログラムでは症例呈示を会議室で行うようになった.われわれは,患者の医療の受け止め方に及ぼすこれら二つのアプローチの効果を調べる無作為化対照試験を実施した.
試験患者は,教育病院の一般診療科に入院した成人であった.四つの病棟医「チーム」(チーフレジデント,シニアレジデント,インターン,学生から成る)を無作為割付けして,朝の回診のさいに患者のベッドサイドまたは会議室のいずれかで症例呈示を 1 週間行い,2 週目にはもう一方の場所に切り替え,3 週目には最初の場所で症例呈示を行った.患者の受け止め方を評価するため,入院 24 時間以内に質問票調査を行った.
3 週間の試験中,患者 95 人がベッドサイドで,87 人が会議室で症例呈示がなされた.前者を後者と比較すると,ベッドサイドで症例呈示がなされた患者は,朝の回診時に医師が自分に費やす時間を多く回答した(10 分 対 6 分,p<0.001).ベッドサイドで症例提示がなされた患者はまた,自身の入院治療に対して好感をもっている割合がやや高かった(補正オッズ比の範囲,1.12~2.17).しかしいずれの関連も,統計学的に有意ではなかった.教育水準の高い患者は,高校を修了していない患者に比べて,「医師がわかりにくい専門用語を使用した」,「検査や投薬の説明が不適切だった」と回答することが少なかった.
これらのデータは,患者の受け止め方から,ベッドサイドでの症例呈示は少なくとも会議室での提示と同じくらいよく,おそらく好ましいことを示唆している.教育水準の低い患者に対して医師がベッドサイドで説明する場合には,とくに注意して医学用語を避け,入院治療についてその計画を十分に説明すべきである.