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May 15, 1997 Vol. 336 No. 20

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決定分析 ― BRCA1 または BRCA2 変異を有する女性の余命に及ぼす予防的乳房切除術と卵巣切除術の効果
DECISION ANALYSIS — EFFECTS OF PROPHYLACTIC MASTECTOMY AND OOPHORECTOMY ON LIFE EXPECTANCY AMONG WOMEN WITH BRCA1/2 MUTATIONS

D. SCHRAG, K.M. KUNTZ, J.E. GARBER, AND J.C. WEEKS

背景

BRCA1 または BRCA2 変異を有する女性では,乳癌と卵巣癌のリスクが増加している.予防的乳房切除術および卵巣切除術は,これらのリスクを低下させる方法としばしばみなされているが,余命に及ぼす手術の効果は確立されていない.

方 法

決定分析において,BRCA1 または BRCA2 遺伝子に変異を有する女性における予防的乳房切除術と卵巣切除術の実施を,手術を行わない場合と比較した.癌の発生率,癌の女性の予後,そして乳癌および卵巣癌の予防における予防的乳房切除術と卵巣切除術の有効性に関して利用できるデータを用いて,癌のリスクのレベルが異なる女性の余命に及ぼすこれら切除術の介入効果を推定した.

結 果

BRCA1 または BRCA2 変異を有する平均 30 歳の女性が予防的乳房切除により得られる余命は,患者の癌の累積リスクに応じて 2.9~5.3 年,そして卵巣切除により得られる余命は 0.3~1.7 年,と算出された.余命の伸びは手術時の年齢に伴って低下し,60 歳の女性で最小である.30 歳の女性では,卵巣切除術を 10 年遅らせても余命はほとんど変化しない可能性がある.

結 論

癌の発生率,予後,そして予防的手術の有効性の推定範囲に基づくと,われわれのモデルは,BRCA1 または BRCA2 変異を有する若い女性では,乳房切除術により実質的な余命の伸びが得られるが,卵巣切除術では余命の伸びはより限られていることを示唆する.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 1997; 336 : 1465 - 71. )