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May 22, 1997 Vol. 336 No. 21

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携帯電話機による心臓ペースメーカの電磁障害
Interference with Cardiac Pacemakers by Cellular Telephones

D.L. HAYES AND OTHERS

背景

心臓ペースメーカとワイヤレス携帯(セルラー)電話機とのあいだに電磁障害が起りうることを示唆する証拠が増えつつあり,公共の健康問題となる可能性が提起されている.電磁障害は,携帯電話機によって生じた電磁領域にペースメーカが曝された場合に起る可能性がある.

方 法

多施設共同前向きクロスオーバー試験において,心臓ペースメーカを装着した患者 980 人を 5 タイプの携帯電話機(アナログ 1 台およびデジタル 4 台)とともに調べ,障害の可能性を評価した.電話機を試験モードで調べ,最悪のシナリオを模するように最大パワーで通話するようにプログラムした;さらに,実際の使用を模するために,1 台の電話機では実際の通話で調べた.患者を心電図でモニターしながら,同側の耳に電話機をあてた場合と,ペースメーカの真上で一連の操作を行っている場合を調べた.効果のタイプおよび臨床的重要性に従って,障害を分類した.

結 果

何らかのタイプの障害の発生率は,5,533 回の試験中 20%で,症状発生率は 7.2%であった.臨床的に重要な障害の発生率は 6.6%であった.電話機を正常な位置で耳にあてた場合,臨床的に重要な障害は起こらなかった.明らかに臨床的に重要な障害は,試験の 1.7%に発生したにすぎず,電話機をペースメーカの上に置いた場合にのみ認められた.障害の頻度は,2 室ペースメーカ(25.3%)のほうが 1 室ペースメーカ(6.8%)よりも高く(p < 0.001),また,フィードスルーフィルターが搭載されていないペースメーカ(28.9~55.8%)のほうが,搭載されているペースメーカ(0.4~0.8%)よりも高かった(p = 0.01).

結 論

携帯電話機は,植え込んだペースメーカの機能を妨害することがありうる.しかし,電話機を正常な位置である耳に当てた場合,この障害は健康にリスクを及ぼさない.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 1997; 336 : 1473 - 9. )