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May 22, 1997 Vol. 336 No. 21

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触診不可能な性腺を有する子どもの評価におけるミューラー阻害物質の血清濃度測定
Measurements of Serum Müllerian Inhibiting Substance in the Evaluation of Children with Nonpalpable Gonads

M.M. LEE AND OTHERS

背景

ミューラー阻害物質は,思春期前の睾丸によって恒常的に産生され,正常な男児の性的分化の過程においてミューラー管の退縮を促進する.男性型を示し性腺が触診不可能な子どもでは,睾丸組織を有する子どものみがミューラー阻害物質の検出可能な血清濃度を示すはずである.

方 法

われわれは,出生時,男性型で睾丸が触診不可能な子ども(診断時年齢生後 2 日~11 歳)65 人について,ミューラー阻害物質の血清濃度を測定し,そのうち 54 人では,ヒト絨毛性腺刺激ホルモンの投与後または正常幼児に起るテストステロンの生理学的上昇のあいだのいずれかのさいに,テストステロンの血清濃度を測定した.

結 果

睾丸組織を有しない子ども 17 人でのミューラー阻害物質の平均(±SD)血清濃度は,0.7±0.5 ng/mL で,これに比して,睾丸を有する子ども 48 人では 37.5±39.6 ng/ml であった(p<0.001).後者の群では,睾丸の異常を示した子ども 14 人および睾丸が正常な子ども 34 人の平均値はそれぞれ,11.5±11.8 および 48.2±42.1 ng/mL であった(p<0.001).睾丸組織の欠損を検出するミューラー阻害物質の血清濃度測定法の感度と特異性はそれぞれ,92%および 98%で,テストステロンの血清濃度測定に関しては,69%および 83%であった.さらに,ミューラー阻害物質の血清濃度測定は,睾丸が異常な子どもを特定するにはテストステロンの血清濃度測定より感度がよかったが(67% 対 25%),二つの試験の特異性は同程度であった.

結 論

ミューラー阻害物質の血清濃度測定は,触診不可能な性腺を有する思春期前の子どもの睾丸状態を明らかにするために用いることができ,したがって両側の停留睾丸の子どもでみられる下降しない睾丸と無睾丸とを区別し,半陰陽の子どもの睾丸の完全性を調べる手段として役立つ.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 1997; 336 : 1480 - 6. )