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May 29, 1997 Vol. 336 No. 22

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癌は不滅
CANCER UNDEFEATED

J.C. BAILAR III AND H.L. GORNIK

背景

何十年にも及ぶ基礎および臨床研究,そして有望な新しい治療法の臨床試験にもかかわらず,癌はなお罹患率および死亡率の主因である.われわれは,年齢補正死亡率の変化を分析することによって,1970 年から 1994 年にかけての米国での癌に対する総合的な進歩を評価した.

方 法

1970~94 年までのあいだに,米国保健統計センターから年齢,人種,そして性別ごとの癌による死亡とともに,癌による総死亡数,特定の部位での癌による死亡に関するデータを得た.年齢特異的死亡率を計算して,それらを 1990 年の全米人口の年齢分布で調整した.

結 果

1994 年の癌による年齢補正死亡率(人口 100,000 人あたり 200.9)は,1970 年の死亡率(人口 100,000 人あたり 189.6)より 6.0%高かった.すべての悪性新生物による年齢補正死亡率は,何十年にもわたって着実に増加した後,プラトーに達し,その後 1991~94 年のあいだに 1.0%減少した.癌による死亡率の低下は,黒人男性および 55 歳未満の人で最大であった.55 歳以上の白人の死亡率もまた最近低下した.これらの傾向は,特定のタイプの癌による死亡率の変化と,喫煙率の低下およびスクリーニングの改善による重要な減少,そして喫煙に密接に関連しないタイプの癌の発生率の増減とが絡み合っていることを反映している.

結 論

癌との戦いはまだ終わっていない.癌による死亡率について認められた変化は,発生率の変化または早期発見を主に反映している.癌に対する新しい治療法が死亡率に及ぼす効果は,非常に残念な結果であった.癌をコントロールするもっとも有望なアプローチは,研究の重点と助成金とのバランスを再度とることにより,予防をするという国の明確な態度である.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 1997; 336 : 1569 - 74. )