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January 16, 1997 Vol. 336 No. 3

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AIDS 関連カポジ肉腫からのヒトヘルペルウイルスの伝播
PROPAGATION OF A HUMAN HERPESVIRUS FROM AIDS - ASSOCIATED KAPOSI'S SARCOMA

K.E. FOREMAN AND OTHERS

背景

カポジ肉腫病変では,ガンマヘルペスウイルス属に関連した独自の DNA 配列がこれまで発見されているが,この DNA が再生可能なウイルスをコードしているか否かは明かでない.

方 法

DNA 配列がカポジ肉腫関連ヘルペスウイルス(KSHV)の DNA 配列と同一であることが判明した濾過可能物質をわれわれは単離して増殖させた.カポジ肉腫を有する後天性免疫不全症候群(AIDS)患者の皮膚病変から継代早期の紡錘細胞を得て,ヒト胎児腎上皮細胞株 293 の細胞とともに培養した.細胞形態学およびウイルス複製に及ぼす作用,そしてその電子顕微鏡上での外観に従って,ウイルスの特徴を明らかにした.

結 果

KSHV は 293 細胞に対して細胞障害性で,ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)により感染細胞に検出されたが,非感染細胞には検出されなかった.100 万個/mL 以上のウイルス価があれば,293 細胞の約 20 回連続感染において,細胞毒性および PCR シグナル陽性が常に維持された.ウイルスのコピー数は比較的少なかった(1~10 コピー/細胞).感染細胞の核に富む分画から単離した DNA の Southern blot 分析,ならびに最初カポジ病変に関連して記述された 233 塩基対のウイルス DNA 断片を検出するために調整された感染細胞の溶解物の希釈を用いた半定量的 PCR によりウイルスの複製を確認した.電子顕微鏡により,感染培養細胞の約 1%にヘルペスウイルス様粒子を認めたが,非感染培養細胞ではまったく認めなかった.

結 論

KSHV と同一の DNA 配列を有するヘルペスウイルスは,AIDS 関連カポジ肉腫患者の皮膚病変から伝播することが可能である.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 1997; 336 : 163 - 71. )