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June 5, 1997 Vol. 336 No. 23

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髄核ヘルニアによる坐骨神経痛に対するコルチコステロイドの硬膜外注射
EPIDURAL CORTICOSTEROID INJECTIONS FOR SCIATICA DUE TO HERNIATED NUCLEUS PULPOSUS

S. CARETTE AND OTHERS

背景

コルチコステロイドの硬膜外注射は,坐骨神経痛によく用いられるが,その有効性は確立されていない.

方 法

無作為化二重盲検試験において,酢酸メチルプレドニゾロン(80 mg/8 mL 等張生理食塩水)または等張生理食塩水(1 mL)を,髄核ヘルニアによる坐骨神経痛患者 158 人に最大 3 回硬膜外注射した.患者の Oswestry 障害スコアは全員,20 を超えていた(スコアの範囲は 1~100 で,20 以下は最小限の障害であることを示し,スコアが大きいほど障害が大きいことを示す).

結 果

3 週間で,Oswestry スコアは,メチルプレドニゾロン群では平均で -8.0 改善し,プラセボ群では -5.5 改善した(差に関する 95%信頼区間,-7.1~2.2).改善における群間差は,メチルプレドニゾロン群のほうが改善が大きかった指床間距離(p=0.006)と感覚障害(p=0.03)を除いて,有意ではなかった.6 週間後,唯一有意差が認められたのは下肢痛の改善で,メチルプレドニゾロン群のほうがプラセボ群よもり大きかった(p=0.03).3 ヵ月後,群間に有意差は認められなかった.Oswestry スコアは,メチルプレドニゾロン群では平均で -17.3 改善し,プラセボ群では -15.4 改善した(差に関する 95%信頼区間,-9.3~5.4).12 ヵ月の時点で,背部手術の累積確率は,メチルプレドニゾロン群で 25.8%,プラセボ群で 24.8%であった(p=0.90).

結 論

髄核ヘルニアによる坐骨神経痛患者において,メチルプレドニゾロンの硬膜外注射は,下肢痛と感覚障害を短期的に改善させるかもしれないが,機能に有意な利益をもたらすことはなく,手術の必要性を低下させることもない.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 1997; 336 : 1634 - 40. )