ヒト免疫不全ウイルス感染症に伴う非ホジキンリンパ腫に対する低用量と標準用量の m-BACOD 化学療法の比較
LOW-DOSE COMPARED WITH STANDARD-DOSE m-BACOD CHEMOTHERAPY FOR NON-HODGKIN'S LYMPHOMA ASSOCIATED WITH HIV INFECTION
L.D. KAPLAN AND OTHERS
ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染関連非ホジキンリンパ腫患者では,低用量または標準用量の細胞傷害性化学療法とともに骨髄コロニー刺激因子を投与することで,血液毒性と合併症が減少する.しかし,細胞傷害性化学療法薬の用量を減量することが,臨床転帰に及ぼす効果はわかっていない.
未治療の高悪性度非ホジキンリンパ腫を有する HIV 血清陽性患者 198 人を無作為割付けし,標準用量でのメトトレキサート,ブレオマイシン,ドキソルビシン,シクロホスファミド,ビンクリスチン,デキサメタゾン(m-BACOD)療法を,顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)投与とともに行うか(n=94),m-BACOD 療法を低用量で行い,必要な場合に限り GM-CSF 投与を行った(n=98).
完全奏効は,低用量療法群で評価しえた 94 人中 39 人(41%),標準用量療法群で評価しえた 81 人中 42 人(52%)に認められた(p=0.56).全生存率と無病生存率には有意差を認めず,生存期間の中央値は,低用量療法を受けた患者で 35 週,標準用量療法を受けた患者で 31 週であった(標準用量群での死亡のリスク比,1.17;95%信頼区間,0.84~1.63;p=0.25).グレード 3 以上の化学療法の毒性は,標準用量療法群では 94 人中 66 人(70%),低用量療法群では 98 人中 50 人(51%)に発現した(p=0.008).この差は血液学的毒性によるものであった.
HIV 関連リンパ腫患者において,標準用量での細胞傷害性化学療法(m-BACOD)と比較して,用量を減量した m-BACOD 療法では,血液学的毒性が有意に少なくなり,有効性は同程度であった.悪性リンパ腫を有する HIV 感染患者の大部分では,用量を調整した化学療法を考慮すべきである.