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January 16, 1997 Vol. 336 No. 3

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クッシング病における経蝶形骨手術が不成功であった場合の下垂体放射線照射の長期転帰
THE LONG-TERM OUTCOME OF PITUITARY IRRADIATION AFTER UNSUCCESSFUL TRANSSPHENOIDAL SURGERY IN CUSHING'S DISEASE

J. ESTRADA AND OTHERS

背景

下垂体放射線照射は,経蝶形骨微小手術が成功しなかったクッシング病患者のもっとも適切な治療であると広く考えられている.しかし,この治療の長期有効性に関する情報はほとんどない.

方 法

われわれは,経蝶形骨手術が成功しなかった持続性または再発性のクッシング病成人患者 30 人を外部下垂体放 射線照射を用いて治療した.放射線の平均(±SD)照射量は 50±1 Gy であった.下垂体および副腎機能を放射線療法後 6 ヵ月ごとに評価した.寛解は,クッシング症候群の症状および徴候の減少,尿中コルチゾルの正常排泄,そして深夜デキサメタゾン 1 mg を投与し翌朝血漿中コルチゾル濃度が低いことと定義した.

結 果

患者 25 人(83%)が追跡期間の中央値 42 ヵ月間に寛解した(範囲 18~114 ヵ月).寛解は放射線療法後 6 ヵ月から 60 ヵ月に始まったが,ほとんどの症例(患者 22 人)では最初の 2 年間に寛解が起った.患者 25 人中,寛解が得られた後にクッシング病が再発した患者はなかった.放射線療法に対する反応と,放射線療法前の性別,年齢,尿中コルチゾル排泄,手術と放射線治療との間隔,病理学検査によって下垂体腺腫が認められたか否か,または腫瘍径とのあいだに関係を認めなかった.放射線治療の後,患者 17 人が成長ホルモン欠乏症を示し,10 人は性腺刺激ホルモン欠乏症,4 人は甲状腺刺激ホルモン欠乏症,そして 1 人はコルチコトロピン欠乏症を示した.

結 論

下垂体放射線照射は,経蝶形骨手術が成功しなかったクッシング病患者に対する有効で耐容性の良好な治療法である.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 1997; 336 : 172 - 7. )