化学療法による発熱を伴わない重度好中球減少症における顆粒球コロニー刺激因子
GRANULOCYTE COLONY-STIMULATING FACTOR IN SEVERE CHEMOTHERAPY-INDUCED AFEBRILE NEUTROPENIA
L.C. HARTMANN AND OTHERS
化学療法後に発熱性好中球減少症をきたした患者に対するコロニー刺激因子の無作為臨床試験は,一貫した臨床的利益を示していない.それにもかかわらず,化学療法による好中球減少症の治療には,コロニー刺激因子が広く用いられている.
化学療法により重度好中球減少症をきたした,発熱を伴わない外来患者において,顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)に関する無作為二重盲検プラセボ対照臨床試験を実施した.好中球減少症の日数,入院率,入院日数,注射用抗菌薬の投与日数,培養陽性の感染症数を測定した.
患者 138 人を無作為割付けして G-CSF(n=71)またはプラセボ(n=67)を投与した.好中球の絶対数が 500/mm3 を超えるまでに要する期間の中央値は,G-CSF 投与患者では有意に短かった(2 日,これに対しプラセボ投与患者では 4 日).しかし,入院率,入院日数,注射用抗菌薬による治療期間,培養陽性の感染症数のいずれにも影響は認められなかった.
重度好中球減少症をきたした発熱を伴わない患者の治療に G-CSF をルーチンに用いれば,好中球減少症の期間を短縮することができるが,これは,実際的な臨床的利益をもたらさないように思われる.