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January 23, 1997 Vol. 336 No. 4

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子宮内で抗うつ薬に曝露された児の神経発達
NEURODEVELOPMENT OF CHILDREN EXPOSED IN UTERO TO ANTIDEPRESSANT DRUGS

I. NULMAN AND OTHERS

背景

出産年齢の多くの女性がうつ病を有し,三環系抗うつ薬や,フルオキセチンなどのセロトニンの再取込みを阻害する薬剤による治療が必要である.これらの薬剤が胎児の神経発達に影響を及ぼすか否かはわかっていない.

方 法

妊娠中に三環系抗うつ薬を服用した母親 80 人の児,妊娠中に母親がフルオキセチンを服用した児 55 人,妊娠中に母親が胎児に有害作用を及ぼすことで知られているいかなる薬剤にも曝露されなかった児 84 人を調べた.児の総合 IQ と言語発達を,年齢補正 Bayley 乳幼児発達尺度または McCarthy 知能発達尺度(IQ について)と Reynell 言語発達尺度を用いて,生後 16~86 ヵ月のあいだに評価した.

結 果

平均(±SD)総合 IQ スコアは,三環系抗うつ薬を服用した母親の児では 118±17,母親がフルオキセチンを服用した児では 117±17,対照群の児では 115±14 であった.言語スコアは 3 群すべてについて同程度であった.結果は,妊娠初期に三環系抗うつ薬またはフルオキセチンに曝露された児においても,妊娠期間を通じて曝露された児においても同様であった.3 群の児には,気質,気分,覚醒度,活動レベル,注意集中障害,行動上の問題に有意差を認めなかった.

結 論

三環系抗うつ薬またはフルオキセチンのいずれかに子宮内で曝露されても,その児の就学前の総合 IQ,言語発達,行動発達に影響を及ぼさない.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 1997; 336 : 258 - 62. )