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February 6, 1997 Vol. 336 No. 6

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医師幇助自殺とヒト免疫不全ウイルス疾患患者
PHYSICIAN-ASSISTED SUICIDE AND PATIENTS WITH HUMAN IMMUNODEFICIENCY VIRUS DISEASE

L.R. SLOME, T.F. MITCHELL, E. CHARLEBOIS, J.M. BENEVEDES, AND D.I. ABRAMS

背景

ヒト免疫不全ウイルス(HIV)疾患患者の自殺幇助に関する医師の態度と実践に関するデータは限られている.

方 法

1994 年 11 月から 1995 年 1 月のあいだに,サンフランシスコ湾岸地域において HIV 感染患者にヘルスケアを提供する協会である地域組合(the Community Consortium)の医師 228 人全員に対し,匿名の自己記入質問書を用いて調査した.回答を 1990 年の組合医師調査の回答と比較した.医師幇助自殺は,“患者が自殺するのに十分な量の麻酔剤を医師が与えること”と定義した.回答者は,“患者は,死に直面していて,精神的能力があり,きわめて重篤な病人であると想定する”こととした.

結 果

質問書 118 例を評価した.回答者は,患者から平均で“直接に”7.9 回,“間接的に”13.7 回幇助の要請を受けたと報告した.個々の症例に基づく回答では,医師の 48%が,後天性免疫不全症候群(AIDS)患者の自殺幇助の要請におそらく応じる,または応じる可能性が非常に高いと述べ,これは 1990 年では回答者の 28%であった.AIDS 患者の自殺を手助けするという要請に応じた回数を見積もるように要請したところ,53%が少なくとも 1 回は要請に応じたと述べた(平均回数,4.2 回;中央値,1.0;範囲 0~100).多変量解析では,医師の実際の自殺幇助に対する正の関連要因は,死亡した AIDS 患者数が多いこと;患者から幇助に対する間接的な要請を何回も受けていたこと;自身が,自ら認めた男性同性愛,女性同性愛,またはバイセクシュアルの方向性をもっていること;そして“幇助しようとする”スコア(各症例に対する医師の回答から計算)の高いことであった.

結 論

HIV 疾患患者を治療する医師のグループ内では,医師幇助自殺の容認が 1990 年から 1995 年のあいだに増加した.1995 年では,回答者の大多数が AIDS 患者からの自殺幇助の要請に少なくとも 1 回応じたと述べた.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 1997; 336 : 417 - 21. )