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February 20, 1997 Vol. 336 No. 8

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不妊症男性の Y 染色体における微小欠失
MICRODELETIONS IN THE Y CHROMOSOME OF INFERTILE MEN

J.L. PRYOR AND OTHERS

背景

無精子症または重度の精子減少症による不妊症男性の中には,Y 染色体領域に小さい欠失を認めることがある.しかし,不妊症男性におけるそのような微小欠失の発生率は一般にわかっていない.われわれは,不妊症男性における Y 染色体微小欠失の発生率を求め,それら男性の臨床症状と特異的欠失との相関を検討した.

方 法

連続した不妊症男性 200 人を調べた.不妊症の既知原因の有無について各男性を幅広く評価し,染色体の特異的領域を増幅するため,ポリメラーゼ連鎖反応を用いて Y 染色体微小欠失を調べた.正常男性 200 人の Y 染色体も同様に分析した.

結 果

不妊症の男性 14 人(7%),および正常男性 4 人(2%)に Y 染色体の微小欠失を認めた.不妊症男性 9 人は無精子症または重度精子減少症(精子濃度,<500 万個/mL),4 人が精子減少症(精子濃度,500~2,000 万個/mL),そして 1 人が正常精子数(精子濃度,≧2,000 万個/mL)を有した.欠失の大きさおよび位置は多様で,精子産生不全の重症度と相関しなかった.微小欠失を有する不妊症男性 6 人の父親を調べた;2 人に息子と同じ欠失を認めたが,4 人では欠失を認めなかった.

結 論

少数の不妊症男性に Y 染色体微小欠失を認めたが,欠失の大きさおよび位置は,精子産生不全の重症度とあまり相関せず,欠失があっても生存精子の存在および妊娠の可能性は否定できない.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 1997; 336 : 534 - 9. )