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March 27, 1997 Vol. 336 No. 13

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敗血症患者の生理および生存に及ぼすイブプロフェンの効果
THE EFFECTS OF IBUPROFEN ON THE PHYSIOLOGY AND SURVIVAL OF PATIENTS WITH SEPSIS

G.R. BERNARD AND OTHERS

背景

敗血症患者では,シクロオキシゲナーゼによりアラキドン酸代謝物の生成が増加するが,これらのプロスタグランジン類の病態生理学的役割は明確でない.動物モデルでは,敗血症の発症前にイブプロフェン治療によりシクロオキシゲナーゼを阻害すれば,生理的異常が減少し,生存が改善する.敗血症患者に関するパイロット試験では,イブプロフェン治療により,ガス交換および気道力学の改善が得られた.

方 法

1989 年 10 月~1995 年 3 月までのあいだに,発熱,頻脈,頻呼吸,そして少なくとも一つの臓器系が急性不全であることと定義した敗血症患者 455 人において,イブプロフェン静注(10 mg/kg 体重 [最大用量,800 mg],6 時間ごとに計 8 回投与)に関する無作為二重盲検プラセボ比較臨床試験を実施した.

結 果

イブプロフェン群では,プロスタサイクリンとトロンボキサンの尿中濃度,体温,心拍数,酸素消費量,乳酸アシドーシスが有意に減少したが,プラセボ群では減少しなかった.イブプロフェン療法により,腎機能不全,胃腸管出血,またはその他の副作用の発生率が増加することはなかった.しかし,イブプロフェン治療により,ショックまたは急性呼吸窮迫症候群(ARDS)の発生率と持続期間は減少せず,30 日生存率も有意に改善しなかった(死亡率,イブプロフェン群 37%に対し,プラセボ群 40%).

結 論

敗血症の患者では,イブプロフェン治療により,プロスタサイクリンとトロンボキサン濃度が減少し,発熱,頻脈,酸素消費量,乳酸アシドーシスが減少するが,ショックまたは ARDS の発症は防げず,生存も改善しなかった.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 1997; 336 : 912 - 8. )