October 16, 1997 Vol. 337 No. 16
都市部郡病院におけるアセトアミノフェン中毒
ACETAMINOPHEN TOXICITY IN AN URBAN COUNTY HOSPITAL
F.V. SCHIODT, F.A. ROCHLING, D.L. CASEY, AND W.M. LEE
入院患者におけるアセトアミノフェン関連肝障害の発生率および特徴はよくわかっていない.
われわれは,40 ヵ月間に(1992~95 年)都市部の地域病院で過剰のアセトアミノフェンを服用して入院した患者を特定し,彼らのカルテを再調査して,服用による発生率および臨床的特徴とその転帰を明らかにした.
調べた患者 71 人中,50 人が自殺目的にアセトアミノフェンを服用し,21 人が偶発的に鎮痛目的に服用して中毒になったと分類された.自殺患者は,偶発的過剰服用者のほぼ 2 倍のアセトアミノフェンを服用していた(中央値,20 対 12 g;p=0.009).データが利用できる患者の中で,偶発的過剰服用群の 63%および自殺群の 25%が常習アルコール乱用者であった(p=0.009).偶発的過剰服用群の患者は,重度の肝壊死を起こすことが多く(アミノトランスフェラーゼ値,>3,500 IU/L;52% 対 14%;p=0.002),肝性昏睡に陥る可能性がより高かった(33% 対 6%,p=0.006).偶発的過剰服用群で死亡例 4 例(19%)を認め,自殺群では 1 例(2%)であった(p=0.04).患者 5 人 ― 偶発的過剰服用群 3 人および自殺群 2 人 ― が,アセトアミノフェン 4 g 未満を服用した.試験期間中,アセトアミノフェン服用は,薬物用量過多のために入院した患者全体の 12%(589 人中 71 人)を占め,急性肝不全のために入院した患者の 40%(25 人中 10 人)を占めた.
都市部の地域病院において,偶発的過剰服用によるアセトアミノフェン中毒のため入院した患者は,自殺を試みた患者がより多量のアセトアミノフェンを服用したにもかかわらず,彼らより罹患率および死亡率が高かった.偶発的過剰服用患者では常習アルコール乱用率が高かったことが説明の一つとなるかも知れない.