November 13, 1997 Vol. 337 No. 20
中等度喘息に対する低用量ブデソニド吸入にテオフィリンを加えた治療と高用量ブデソニド吸入との比較
A Comparison of Low-Dose Inhaled Budesonide plus Theophylline and High-Dose Inhaled Budesonide for Moderate Asthma
D.J. EVANS AND OTHERS
グルココルチコイド吸入とテオフィリン経口投与は,喘息の治療に広く用いられている.われわれは,グルココルチコイドの吸入実施にもかかわらず持続的な症状を示す患者において,グルココルチコイド吸入にテオフィリンを加えた場合の利益を,グルココルチコイド吸入量を倍加させた場合の利益と比較した.
二重盲検プラセボ対照試験において,患者 62 人を,テオフィリン 250 mg または 375 mg(体重による)とともにブデソニド 400 μg を吸入する群(低用量ブデソニド群)と,ブデソニド 800 μg を吸入する群(高用量ブデソニド群)に無作為に割り付けた.投与はすべて 1 日 2 回,3 ヵ月間行った.肺機能を連続して測定し,患者は,最大呼気流量,症状,アルブテロール使用量を記録した.治療が内因性コルチゾール濃度に及ぼす効果についても評価した.
いずれの治療も肺機能を改善し,その効果は試験期間中持続した.高用量ブデソニドと比較して,低用量ブデソニド+テオフィリンのほうが努力肺活量の改善が大きく(p=0.03),1 秒量の改善も大きかった(p=0.03).気道過敏性と喘息の重症度に相関するβ2 アゴニストの使用量と最大呼気流量の変動は,有意にかつ同程度に減少した.血清コルチゾール濃度は,高用量ブデソニド群では有意に減少したが(平均 [±SE] で 18.4±2.4 μg/dL から 15.9±2.1 μg/dL に減少,p=0.02),低用量ブデソニド群では不変であった.テオフィリン投与群でのテオフィリン血清濃度の中央値は 8.7 μg/mL(治療範囲,10~20)であった.いずれの治療も忍容性は良好であった.
中等度喘息で症状が持続する患者では,低用量ブデソニド吸入にテオフィリンを加えた治療と高用量ブデソニド吸入は,同様の結果を生じた.効果は,推奨治療範囲より低いテオフィリン濃度で得られた.グルココルチコイド吸入に低用量テオフィリンを加えることは,グルココルチコイドの吸入用量を増加させるよりも好ましく,安価である可能性がある.