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July 3, 1997 Vol. 337 No. 1

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後天性免疫不全症候群に関連したクリプトコックス髄膜炎の治療
TREATMENT OF CRYPTOCOCCAL MENINGITIS ASSOCIATED WITH THE ACQUIRED IMMUNODEFICIENCY SYNDROME

C.M. VAN DER HORST AND OTHERS

背景

後天性免疫不全症候群(AIDS)およびクリプトコックス髄膜炎患者に対する,低用量アンホテリシン B(0.4 mg/kg 体重/日),または経口アゾール療法での治療では,高い死亡率および低い脳脊髄液無菌化率しか得られない.

方 法

二重盲検多施設臨床試験において,われわれは AIDS 関連クリプトコックス髄膜炎をはじめて発症した患者を無作為割付けして,高用量のアンホテリシン B(0.7 mg/kg/日)単独またはフルシトシン(100 mg/kg/日)との併用による治療を 2 週間行い(ステップ 1),その後イトラコナゾール(400 mg/日)またはフルコナゾール(400 mg/日)(ステップ 2)による治療を 8 週間行った.2 および 10 週目で脳脊髄液培養が陰性であれば,または患者が 2 週目で臨床的に安定で,しかも 10 週目で無症候であれば,治療成功とみなした.

結 果

2 週目の脳脊髄液培養は,アンホテリシン B+フルシトシンを投与した患者 202 人の 60%において,そしてアンホテリシン B のみを投与した患者 179 人の 51%において陰性であった(p=0.06).頭蓋内圧の上昇でステップ 1 のあいだ,患者 14 人中 13 人が死亡した.臨床転帰は 2 群で有意差を示さなかった.10 週目での培養陰性であったのは,フルコナゾール投与患者 151 人の 72%およびイトラコナゾール投与患者 155 人の 60%であった(差の百分率に関する 95%信頼区間,-100~21).臨床効果を示した患者の比率は,フルコナゾール(68%)およびイトラコナゾール(70%)で同様であった.総死亡率は,最初の 2 週間で 5.5%,次の 8 週間で 3.9%で,群による有意差を認めなかった.多変量解析では,最初の 2 週間にフルシトシンを加えることと,次の 8 週間でフルコナゾールによる治療を行うことは,独立して脳脊髄液の無菌化と関係した.

結 論

AIDS 関連クリプトコックス髄膜炎の初回治療では,高用量アンホテリシン B+フルシトシンの併用により,これまでの試験で用いた療法と比較して,脳脊髄液無菌化率が増加し,2 週間での死亡率が減少した.フルコナゾールによる強化療法により,脳脊髄液無菌化率はより高くなるが,フルコナゾールを投与できない患者では,イトラコナゾールは,好適な代用薬であるかも知れない.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 1997; 337 : 15 - 21. )