November 20, 1997 Vol. 337 No. 21
原発性副甲状腺機能亢進患者におけるカルシウム受容体アゴニストによる副甲状腺ホルモン分泌の短期抑制
SHORT-TERM INHIBITION OF PARATHYROID HORMONE SECRETION BY A CALCIUM-RECEPTOR AGONIST IN PATIENTS WITH PRIMARY HYPERPARATHYROIDISM
S.J. SILVERBERG AND OTHERS
原発性副甲状腺機能亢進患者にとって手術は一般的な治療である.この疾患を有する患者の副甲状腺ホルモンおよびカルシウム血清濃度を低下させる目的で,われわれは,in vitro で副甲状腺ホルモン分泌を抑制するカルシウム類似薬の能力を調べた.
われわれは,軽度の原発性副甲状腺機能亢進症の閉経後女性 20 人に,カルシウム受容体アゴニスト,R-568 の 4~160 mg を経口単回投与する無作為プラセボ対照試験を実施した.ベースラインにおいて,平均(±SE)カルシウム血清濃度は 10.7±0.2 mg/dL(2.67±0.05 mmol/L)であった.血清副甲状腺ホルモンおよびカルシウムは各投与後に繰り返し測定し,安全性を評価した.
R-568 の投与は,副甲状腺ホルモン分泌を用量依存的に抑制した.副甲状腺ホルモンの平均血清濃度は,ベースラインで 77±11 pg/mL(18.8±2.7 pmol/L;正常範囲,16~65 pg/mL [3.9~15.9 pmol/L]),R-568 の 20 mg 投与後 26±8%減少し(p = 0.03),80 mg の投与後では 42±7%の減少(p = 0.01),そして 160 mg の投与後では 51±5%の減少であった(p = 0.005).イオン化カルシウム血清濃度は 160 mg の投与後に限って減少し,この減少は副甲状腺ホルモンの血清濃度が減少した直後に起った.
カルシウム類似薬 R-568 は,原発性副甲状腺機能亢進症の閉経後女性において,副甲状腺ホルモンおよびイオン化カルシウム血清濃度を減少させる.