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July 17, 1997 Vol. 337 No. 3

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食道扁平上皮癌における手術単独と化学放射線療法後手術との比較
CHEMORADIOTHERAPY FOLLOWED BY SURGERY COMPARED WITH SURGERY ALONE IN SQUAMOUS-CELL CANCER OF THE ESOPHAGUS

J.-F. BOSSET AND OTHERS

背景

われわれは,多施設無作為臨床試験を実施して,I 期および II 期の食道扁平上皮癌患者において,手術単独と化学放射線療法後手術を比較した.

方 法

術前併用療法は 1 週間コース 2 回から成る;それぞれのコースでは,18.5 Gy の用量をそれぞれ 3.7 Gy ずつ 5 回に分けて照射する放射線療法を行い,シスプラチン 80 mg/m2 体表面積を放射線療法初日の 0~2 日前に投与した.手術計画は,腹部および右胸部からの一段階の食道全摘と近位胃切除であり,手術単独群では無作為化後ただちに,併用療法群では術前化学放射線療法終了後 2~4 週に行った.

結 果

297 例が試験に組み入れられた;11 例は不適格であることが判明し,4 例は追跡不能であった.残る 282 例のうち,139 例を手術単独に割り付け,143 例を併用療法に割り付けた.追跡期間の中央値 55.2 ヵ月後,全生存率に有意差を認めなかった;生存期間の中央値は両群 18.6 ヵ月であった.手術単独治療群と比較すると,併用療法群は無症候生存期間が長く(p=0.003),局所疾患無再発期間が長く(p=0.01),癌関連死亡率が低く(p=0.002),治癒的切除率が高かった(p=0.017).しかし,術前に化学放射線療法を行ったグループでは術後の死亡がより多かった(p = 0.012).多変量解析における生存には,三つの予後因子が影響することが判明した;コンピュータ断層撮影に基づく疾患の進行期;腫瘍の位置;外科切除が治癒的か否か.

結 論

食道扁平上皮癌患者では,術前化学放射線療法により全生存率は改善しなかったが,無症候生存期間および局所無再発生存期間は延長した.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 1997; 337 : 161 - 7. )