December 11, 1997 Vol. 337 No. 24
アトピーとインターロイキン 4 受容体 α サブユニットの機能獲得変異との関連
THE ASSOCIATION OF ATOPY WITH A GAIN-OF-FUNCTION MUTATION IN THE α SUBUNIT OF THE INTERLEUKIN-4 RECEPTOR
G.K.K. HERSHEY, M.F. FRIEDRICH, L.A. ESSWEIN, M.L. THOMAS, AND T.A. CHATILA
アトピー性疾患は非常に一般的で,アトピーは強い遺伝的素因を有する.
一本鎖 DNA 高次構造多型解析と DNA シークエンシングを用いて,人にアトピーを引き起こすインターロイキン 4 受容体のαサブユニットにおける変異の有無を調べた.アレルギー性炎症疾患患者およびプロスペクティブに募集した成人 50 人において,対立遺伝子の発生率を調べた.IgE 血清濃度の上昇(≧95 IU/mL)または標準吸入アレルゲンに反応したラジオイムノソルベント試験陽性に基づき,アトピーの被験者を確認した.変異インターロイキン 4 受容体αのシグナル伝達機能は,フローサイトメトリー,結合アッセイ,イムノブロット法によって調べた.
ヌクレオチド 1902 の位置でグアニンがアデニンに置換されている新規インターロイキン 4 受容体対立遺伝子を確認し,これによりインターロイキン 4 受容体α蛋白の細胞質ドメインの 576 位(R576)では,グルタミンからアルギニンへの変化が生じた.R576 対立遺伝子は,アレルギー性炎症疾患患者で頻度が高く(高 IgE 症候群患者 3 人中 3 人,重度アトピー性皮膚炎患者 7 人中 4 人に認められた),プロスペクティブに募集した成人 50 人においても頻度が高かった(アトピーの被験者 20 人中 13 人,アトピーでない被験者 30 人中 5 人に認められた;p = 0.001;対立遺伝子を有する被験者におけるアトピーの相対危険度,9.3).R576 対立遺伝子は,野生型対立遺伝子よりもインターロイキン 4 による CD23 の発現レベルが高いことに関連した.この増強されたシグナル伝達は,シグナル伝達分子に対する 575 位の隣接チロシン残基の結合特異性の変化に関連した.
インターロイキン 4 受容体αの R576 対立遺伝子はアトピーに強く関連する.この変異は,受容体のシグナル伝達機能を変化させることによって,人をアレルギー疾患にかかりやすくする可能性がある.