December 25, 1997 Vol. 337 No. 26
疱疹状皮膚炎患者におけるオート麦の無害性
ABSENCE OF TOXICITY OF OATS IN PATIENTS WITH DERMATITIS HERPETIFORMIS
C.M. HARDMAN AND OTHERS
グルテン感受性の人は小麦,ライ麦および大麦を含む食品を避けるべきであるが,オート麦を避けるべきか否かに関しては論争がある.セリアック病患者は最近,オート麦に耐性を示すことが示唆されたが,疱疹状皮膚炎患者に及ぼすオート麦の影響に関してはほとんどわかっていない.
われわれは,生検によって確認した疱疹状皮膚炎の男性 7 人および女性 3 人(平均年齢,58 歳)を調べた.対象は,平均 15.8 年間,厳密なグルテン非含有食に従っていたため,皮疹と腸疾患はコントロールされていた.グルテンが含まれていないオート麦を 12 週間,患者の食事に加えた(平均±[SD] 1 日摂取量,62.5±10.8 g).
患者のいずれも副作用を示さなかった.抗グリアジン,抗レチクリン,および抗エンドミセス抗体に関する血清検査は,オート麦を食事に加える前および中止後は陰性であった.小腸の絨毛構築は正常のままであった:陰窩の深さに対する絨毛の高さの比の平均値(±SE)は,食事前は 3.59±0.11 および食後 3.71±0.09(正常 3~5)で,腸細胞の高さの平均値はそれぞれ,31.36±0.58 μm および 31.75±44 μm(正常範囲,29~34)であった.十二指腸の上皮内リンパ球数はすべて正常範囲内のままであった(平均値,食事前の腸細胞 100 個当り 13.8±1.03 個および食後では腸細胞 100 個当り 14.2±1.2 個;正常範囲,10~30).皮膚 IgA は有意な変化を示さなかった.
疱疹状皮膚炎患者では,グルテン非含有食に中等度の量のオート麦を含めても,皮膚または腸に対して有害な影響を与えない.