血縁および非血縁ドナーからの臍帯血移植の転帰
OUTCOME OF CORD-BLOOD TRANSPLANTATION FROM RELATED AND UNRELATED DONORS
E. GLUCKMAN AND OTHERS
臍帯血バンクにより,血液疾患患者に対する臍帯血移植の利用が増加した.われわれは,臍帯血移植の転帰に関する情報を含む登録を確立した.
1988~96 年のあいだに,臍帯血移植を受けた患者についての情報を求めて 45 の移植センターにアンケートを送付した.45 の施設で行われた移植 143 例に関する報告を調べ,ドナーがレシピエントと血縁があるか否かに従って回答を個別に分析した.
血縁ドナーからの臍帯血レシピエント 78 人では,Kaplan–Meier の 1 年生存推計値は 63%であった.好ましい予後因子は,レシピエント側の年齢が若いこと,体重が少ないこと,HLA 一致ドナーからの移植およびサイトメガロウイルス血清試験陰性結果であった.II 等級以上の移植片対宿主拒絶反応は,HLA 一致臍帯血のレシピエント 60 人では推計率 9%で起り,HLA 不一致臍帯血のレシピエント 18 人では推計率 50%で起った.好中球の定着は,年齢 6 歳未満(p=0.02)および体重 20 kg 未満(p=0.02)と関係があり,体重 1 kg 当り有核細胞 3,700 万個以上を移植した患者の 85%に認められた.非血縁ドナーからの臍帯血を移植した患者 65 人では,Kaplan–Meier の 1年生存推計値は 29%であった.これらの患者では,サイトメガロウイルス血清試験陰性状態は,生存の改善と関係し(p=0.03),移植片対宿主拒絶反応のもっとも重要な予測因子であった(p=0.04).非血縁ドナーから体重 1 kg 当り有核細胞 3,700 万個以上を移植した患者の 94%に,好中球の回復を認めた.
主要な血液疾患を有する小児患者および一部の成人患者にとって,とくにドナーとレシピエントに血縁関係がある場合,臍帯血は,もう一つ別の有用な造血幹細胞源である.