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September 4, 1997 Vol. 337 No. 10

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静脈血栓塞栓症患者の治療における低分子量ヘパリン
LOW-MOLECULAR-WEIGHT HEPARIN IN THE TREATMENT OF PATIENTS WITH VENOUS THROMBOEMBOLISM

THE COLUMBUS INVESTIGATORS

背景

低分子量ヘパリンは,近位深部静脈血栓症患者の初回治療として安全かつ有効であることが知られている.しかし,肺動脈塞栓症,または血栓塞栓症の既往を有する患者への適用については,これまで調べられていない.

方 法

われわれは,症候性静脈血栓塞栓症患者 1,021 人を無作為割付けして,一定用量の低分子量ヘパリン(レビパリンナトリウム)の皮下投与,または補正用量の未分画ヘパリンの静脈内投与を行った.クマリン誘導体による経口抗凝固療法を同時に開始し,12 週継続した.患者の約 3 分の 1 が肺動脈塞栓症を合併していた.12 週間にわたって調べた転帰イベントは,症候性再発性静脈血栓塞栓症,大出血および死亡であった.われわれは,静脈血栓塞栓症患者において,低分子量ヘパリンが未分画ヘパリンと少なくとも同等であるか否かを明らかにしようとした.

結 果

低分子量ヘパリン群に割付けされた患者では,510 人中 27 人(5.3%)に再発性血栓塞栓症イベントを認めたのに対し,未分画ヘパリン群の患者では 511 人中 25 人(4.9%)であった.0.4%ポイントの差は,あらかじめ定めた同等性に関するわれわれの定義によれば,二つの療法が同等の値であることを示している.低分子量ヘパリン群の患者 16 人(3.1%)および未分画ヘパリン群の患者 12 人(2.3%)に,大出血(p = 0.63)の症状発現を認め,2 群の死亡率はそれぞれ,7.1%および 7.6%であった(p = 0.89).

結 論

一定用量の低分子量ヘパリンの皮下投与は,患者が肺動脈塞栓症であるか,または静脈血栓塞栓症の既往があるか否かによらず,静脈血栓塞栓症の初回処置として,補正用量未分画ヘパリンの静脈内投与と同程度,有効かつ安全である.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 1997; 337 : 657 - 62. )