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September 18, 1997 Vol. 337 No. 12

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アトピー性皮膚炎に対するタクロリムス軟膏の短期臨床試験
A SHORT-TERM TRIAL OF TACROLIMUS OINTMENT FOR ATOPIC DERMATITIS

T. RUZICKA AND OTHERS

背景

タクロリムス(FK 506)は,臓器移植後の拒絶反応の予防に有効な免疫抑制剤であり,予備試験から,タクロリムスの局所塗布がアトピー性皮膚炎の治療に有効であることが示唆されている.

方 法

中等症~重症のアトピー性皮膚炎患者において,0.03%,0.1%,0.3%タクロリムス軟膏と基剤単独とを比較する無作為化二重盲検多施設共同試験を実施した.皮膚の 200~1,000 cm2 に限定した症状のある領域に,軟膏を 1 日 2 回 3 週間塗布した.主要エンドポイントは,紅斑,浮腫,瘙痒感の総合スコアの治療初日から最終日までの変化とした.

結 果

3 週間の治療後,体幹および四肢の皮膚炎の総合スコアにおける減少中央値(%)は,0.03%タクロリムス治療群の患者 54 人では 66.7%,0.1%タクロリムス治療群の患者 54 人では 83.3%,0.3%タクロリムス治療群の患者 51 人では 75.0%,基剤単独群の患者 54 人では 22.5%であった(p<0.001).顔面および頸部に関する結果も同様であった.タクロリムス治療 3 群間における差は統計学的に有意でなかった.タクロリムス群で基剤単独群よりも有意に高頻度に認められた唯一の副作用は,塗布部位における灼熱感であった(p<0.001).試験を通じて,タクロリムス治療 3 群すべてでほとんどの患者の血中濃度は 0.25 ng/mL 未満であった.最高濃度は 4.9 ng/mL で,これは 0.3%タクロリムス治療群で報告された.

結 論

タクロリムス軟膏の短期塗布は,アトピー性皮膚炎の治療に有効であるが,灼熱感が主な副作用である.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 1997; 337 : 816 - 21. )