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July 10, 1997 Vol. 337 No. 2

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徐放性ガンシクロビルインプラントによるサイトメガロウイルス網膜炎の治療
TREATMENT OF CYTOMEGALOVIRUS RETINITIS WITH A SUSTAINED-RELEASE GANCICLOVIR IMPLANT

D.C. MUSCH AND OTHERS

背景

ガンシクロビルを持続徐放する眼内インプラントは,後天性免疫不全症候群(AIDS)患者のサイトメガロウイルス網膜炎のもう一つの治療法である.

方 法

新たにサイトメガロウイルス網膜炎と診断された AIDS 患者 188 人の無作為化試験を実施した.患者を無作為割付けして,ガンシクロビル 1 μg/時間を投与するインプラント,2 μg/時間を投与するインプラント,ガンシクロビル静注による治療のいずれかを行った.検討した主要転帰は,サイトメガロウイルス網膜炎の進行であった.

結 果

網膜炎進行までの日数の中央値は,1 μg/時間インプラント(75 眼)では 221 日,2 μg/時間インプラント(71 眼)では 191 日,ガンシクロビルの静脈内投与(76 眼)では 71 日であった(p<0.001).網膜炎進行のリスクは,ガンシクロビル静注で治療した患者では,ガンシクロビルインプラントで治療した患者のほぼ 3 倍であった(リスク比,2.8;p<0.001).しかし,最初は罹患していなかった眼が罹患するリスクは,ガンシクロビル静注のほうがガンシクロビルインプラントより低かった(リスク比,0.5;p=0.19).ガンシクロビル静注で治療した患者はまた,眼球外のサイトメガロウイルス感染症を有する可能性が低かった(0 対 二つの移植群で 10.3%;p=0.04).

結 論

サイトメガロウイルス網膜炎の治療では,徐放性ガンシクロビルインプラントは,ガンシクロビル静注より有効であるが,ガンシクロビルインプラント単独で治療した患者ではなお,治療眼以外のサイトメガロウイルス疾患発症のリスクが大きい.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 1997; 337 : 83 - 90. )