September 25, 1997 Vol. 337 No. 13
インフルエンザウイルス感染症の治療におけるノイラミニダーゼ阻害薬ザナミビルの有効性と安全性
EFFICACY AND SAFETY OF THE NEURAMINIDASE INHIBITOR ZANAMIVIR IN THE TREATMENT OF INFLUENZAVIRUS INFECTIONS
F.G. HAYDEN AND OTHERS
シアル酸同族体であるザナミビル(GG167)は,A 型および B 型インフルエンザウイルスのノイラミニダーゼの選択的阻害薬である.これらのウイルス酵素は,感染細胞からのウイルスの放出にとって必須であり,呼吸器分泌物によるウイルスの不活化を低下させる可能性もある.実験的に気道に直接投与すると,ザナミビルは強力な抗ウイルス効果を有する.われわれは,急性インフルエンザの成人におけるザナミビルの治療活性を評価した.
1994~95 年のインフルエンザの季節に,北米の 38 施設と欧州の 32 施設において,独立した無作為二重盲検試験を実施した.インフルエンザ様疾患の症状発現後 48 時間以内の成人 417 人を,三つの治療の一つに無作為に割り付けた:ザナミビル 6.4 mg の鼻腔内スプレーと 10 mg 吸入,ザナミビル 10 mg の吸入とプラセボスプレー,または両投与経路によるプラセボ.治療は 1 日 2 回,5 日間自己投与した.
インフルエンザウイルス感染症と確認された 262 人(患者全体の 63%)において,主な症状がすべて軽減するまでの時間の中央値は,ザナミビルの吸入と鼻腔内投与をした 88 人(p = 0.02)およびザナミビルの吸入投与のみを行った 85 人(p = 0.05)では,プラセボを投与した 89 人より 1 日短かった(4 日 対 5 日).登録時発熱があった感染患者および症状発現後 30 時間以内に治療を開始した患者の中では,主な症状の軽減するまでの時間の中央値は,両ザナミビル群で 4 日,プラセボ群で 7 日であった(p ≦ 0.01).ザナミビルを吸入および鼻腔内投与した群では,鼻腔洗浄液のウイルス力価はプラセボ群より有意に低かった.局所投与したザナミビルはよく忍容された.
A 型および B 型インフルエンザウイルス感染症の成人において,選択的ノイラミニダーゼ阻害薬であるザナミビルの気道への直接投与は安全であり,早期に開始すれば症状を軽減する.