肺容量を減少させる手術は最近，一部の肺気腫患者に対し，呼吸困難を軽減し，運動耐容能を改善させるために再び行われるようになった．この手術から利益が得られる可能性がある患者を特定するための信頼できる手段が必要である．

慢性閉塞性肺疾患患者 29 人において，肺容量減少手術の前に，吸気時肺抵抗，全肺容量での静止肺反動圧，静止肺コンプライアンス，呼気流量，肺容量を測定した．手術 6 ヵ月後の 1 秒量（FEV₁）の変化は，術前に測定した生理学的測定値に関連した．手術に対する反応は，FEV₁ が少なくとも 0.2 L 増加し，ベースライン値より少なくとも 12%増加していることと定義した．

患者 29 人中，手術に対する反応の基準を満たした 15 人を含め，23 人が FEV₁ に若干の改善を認めた．検討した変数の中で，吸気時の術前肺抵抗のみが術後の呼気流速の変化を予測した．吸気肺抵抗は，術後の FEV₁ の改善に有意にしかも逆相関した（r＝－0.63，p＜0.001）．術前基準を吸気抵抗 10 cmH₂O/L/秒とすると，手術に対する反応を示す可能性がある患者を特定する感度は 88%（患者 16 人中 14 人），特異度は 92%（患者 13 人中 12 人）であった．

吸気時の術前肺抵抗は，肺容量減少手術に対する肺気腫患者の選択に有用な手段であるように思われる．