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April 23, 1998 Vol. 338 No. 17

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全身性硬化症女性の皮膚病変における胎児 DNA と細胞の同定
IDENTIFICATION OF FETAL DNA AND CELLS IN SKIN LESIONS FROM WOMEN WITH SYSTEMIC SCLEROSIS

C.M. ARTLETT, J.B. SMITH, AND S.A. JIMENEZ

背景

全身性硬化症は,妊娠年齢後の女性にしばしば起る起源不明の疾患である.この疾患は,慢性移植片対宿主拒絶反応と多くの臨床および組織病理学的類似性を有する.最近の研究は,胎児幹細胞が,分娩後何年間も母体循環中で生存しうることを示している.この知見は,母体循環中または組織中に存在し続ける胎児細胞が,移植片対宿主拒絶反応の開始によって全身性硬化症の病因に関与しうることを示唆している.

方 法

われわれは,最近発病した全身性硬化症女性の末梢血細胞と皮膚病変から抽出した DNA における Y 染色体配列を,ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を用いて同定した.PCR 所見を確認するため,末梢血細胞と,罹患皮膚の生検標本における慢性炎症性の細胞浸潤にみられる細胞とに螢光 in situ ハイブリダイゼーションを行った.

結 果

Y 染色体配列が末梢血細胞からの DNA に認められたのは,全身性硬化症女性では 69 人中 32 人 ( 46% ) であったのに対し,正常女性では 25 人中 1 人(4%,p<0.001),男の子を出産した全身性硬化症女性 3 人では T リンパ球に認められた.さらに,全身性硬化症女性 19 人中 11 人(58%)では,皮膚生検標本に Y 染色体配列を同定した;11 人中 9 人は男児を出産したことがわかっている.Y 染色体を有する有核細胞は,われわれが調べた皮膚生検標本が Y 染色体配列を含んだ女性 7 人全員の皮膚病変のパラフィン包埋切片において螢光 in situ ハイブリダイゼーションによって検出された.

結 論

胎児抗母体移植片対宿主拒絶反応が,何人かの女性では全身性硬化症の病因に関与している可能性がある.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 1998; 338 : 1186 - 91. )