The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み

日本語アブストラクト

May 7, 1998 Vol. 338 No. 19

Share

Share on Facebook
Facebookで共有する
Share on Twitter
Twitterでつぶやく
Share on Note
noteに投稿する

RSS

RSS

小児癌生存者の子孫における癌のリスク
RISK OF CANCER AMONG OFFSPRING OF CHILDHOOD-CANCER SURVIVORS

R. SANKILA AND OTHERS

背景

小児癌の生存者は増えており,生殖年齢に達している.しかし,小児癌・思春期癌の生存者の子孫における癌(網膜芽細胞腫以外)のリスクは明らかにされていない.

方 法

デンマーク,フィンランド,アイスランド,ノルウェー,スウェーデンにおいて,全国癌登録・出生登録のデータを用いて,1940 年代・1950 年代以降に小児癌または思春期癌と診断された生存者 14,652 人の子孫 5,847 人における癌のリスクを評価した.癌の診断に関して子孫を 86,780 人年追跡し,標準化発生比を計算した.

結 果

子孫 5,847 人中,悪性新生物は 44 例で診断された(標準化発生比,2.6;95%信頼区間,1.9~3.5).網膜芽細胞腫は 17 例で,標準化発生比は 37 であった.網膜芽細胞腫以外の新生物は 27 例であった(標準化発生比,1.6;95%信頼区間,1.1~2.4).子孫では,これに次いで頻度の高かった癌の原発部位は脳神経系で,8 例認められた(標準化発生比,2.0;95%信頼区間,0.9~3.9).子孫における,その他の原発部位の明らかに散発性の癌症例は 0~4 例あった.遺伝性癌と思われる 4 例と,遺伝性網膜芽細胞腫の子孫における続発癌 2 例を除くと,散発性癌は 22 例であり,標準化発生比は 1.3 であった(95%信頼区間,0.8~2.0).

結 論

小児癌生存者の子孫では,非遺伝性癌のリスクが有意に高いというエビデンスはない.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 1998; 338 : 1339 - 44. )