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January 15, 1998 Vol. 338 No. 3

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虫垂のコンピュータ断層撮影が患者の治療および病院資源の利用に及ぼす効果
EFFECT OF COMPUTED TOMOGRAPHY OF THE APPENDIX ON TREATMENT OF PATIENTS AND USE OF HOSPITAL RESOURCES

P.M. RAO, J.T. RHEA, R.A. NOVELLINE, A.A. MOSTAFAVI, AND C.J. MCCABE

背景

臨床的に虫垂炎が疑われる患者では,コンピュータ断層撮影(CT)による診断は正確である.しかし,そのような患者の治療および病院資源の利用に及ぼす虫垂のルーチン CT の効果は不明である.

方 法

われわれは,既往,理学的検査,および検査結果に基づき,虫垂炎の疑いで経過観察のために,または緊急虫垂切除術のために入院した一連の患者 100 人に対し,救急部門で虫垂の CT を実施した.患者 59 人では手術時とそして病理検査により,また患者 41 人では 2 ヵ月後の臨床追跡調査によって転帰を求めた.CT 実施前に作製した治療計画を患者の実際の治療と比較した.また,虫垂炎でないことが判明した場合の手術費用(患者 61 人のデータから),病院での経過観察 1 日分の費用(虫垂炎が疑われる患者 350 人-日のデータから),そして虫垂 CT の費用(1996 年に実施された骨盤 CT 検査全体のデータから)も求めた.

結 果

患者 53 人が虫垂炎であったが,47 人はそうではなかった.虫垂 CT スキャンの解釈は 98%正確であった.CT の結果,患者 59 人の治療を変更した.これらの変更は,患者 13 人では不必要な虫垂切除術を実施しなかったこと,患者 18 人では経過観察入院,患者 21 人では必要な虫垂切除術前の経過観察入院,そして患者 11 人ではその他の疾患状況の CT による診断前の経過観察入院であった.病院資源の利用に及ぼす虫垂 CT 実施の効果は,患者 13 人に不必要な虫垂切除術を実施しなかったこと(47,281 ドルの節約)そして患者 50 人-日に対する不必要な入院を行わなかったこと(20,250 ドルの節約)であった,虫垂 CT 検査 100 回(22,800 ドル)の費用を差し引くと,全体としての節約は患者 1 人当り 447 ドルであった.

結 論

虫垂炎が疑われる症状を示す患者に実施した虫垂のルーチン CT により,患者の処置が改善し,病院資源の利用が減少する.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 1998; 338 : 141 - 6. )