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May 21, 1998 Vol. 338 No. 21

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不安定狭心症と非 Q 波心筋梗塞におけるチロフィバンによる血小板糖蛋白 IIb/IIIa 受容体の阻害
INHIBITION OF THE PLATELET GLYCOPROTEIN IIb/IIIa RECEPTOR WITH TIROFIBAN IN UNSTABLE ANGINA AND NON–Q-WAVE MYOCARDIAL INFARCTION

PRISM-PLUS STUDY INVESTIGATORS

背景

抗血栓療法は急性冠症候群の患者の予後を改善するが,この症候群はなおも治療上の課題が残っている.われわれは,不安定狭心症および非 Q 波心筋梗塞の治療において,血小板糖蛋白 IIb/IIIa 受容体の特異的阻害薬であるチロフィバンを評価した.

方 法

患者 1,915 人をチロフィバン群,ヘパリン群,チロフィバン+ヘパリン群に無作為に割り付け,二重盲検で投与した.禁忌でなければアスピリンも投与した.試験薬を平均(±SD) 71.3±20 時間注入し,その間に,冠血管造影と血管形成術の適応があれば,無作為化後 48 時間以降に施行した.複合主要エンドポイントは,無作為化後 7 日以内の死亡,心筋梗塞,難治性虚血とした.

結 果

7 日の時点で,チロフィバン単独投与群の超過死亡(4.6%,ヘパリン単独治療群では 1.1%)を認めたため,試験を早期に中止した.7 日の時点で,複合主要エンドポイントの発生率は,チロフィバン+ヘパリン投与群の患者のほうがヘパリン単独投与群の患者よりも低かった(12.9% 対 17.9%;リスク比,0.68;95%信頼区間,0.53~0.88;p = 0.004).30 日目の時点でもチロフィバン+ヘパリン群のほうがヘパリン単独群よりも低く(18.5% 対 22.3%,p = 0.03), 6 ヵ月の時点でも同様であった(27.7% 対 32.1%,p = 0.02).7 日の時点での死亡または心筋梗塞の発生率は,チロフィバン+ヘパリン群では 4.9%であったのに対し,ヘパリン単独群では 8.3%であった(p = 0.006).30 日の時点ではそれぞれ 8.7%および 11.9%(p = 0.03),6 ヵ月の時点ではそれぞれ 12.3%および 15.3%であった(p = 0.06).さまざまなサブグループの患者や,内科的に治療した患者,血管形成術で治療した患者においても,効果は一貫していた.大出血はヘパリン単独投与群の患者の 3.0%,併用療法投与群の患者の 4.0%に起こった.

結 論

ヘパリンとアスピリンとともに投与すると,血小板糖蛋白 IIb/IIIa 受容体阻害薬であるチロフィバンは,急性冠症候群の患者においてヘパリンとアスピリンのみを投与された患者より虚血性イベントの低発生率に関連した.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 1998; 338 : 1488 - 97. )