The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み

日本語アブストラクト

May 21, 1998 Vol. 338 No. 21

Share

Share on Facebook
Facebookで共有する
Share on Twitter
Twitterでつぶやく
Share on Note
noteに投稿する

RSS

RSS

無症候性慢性リンパ球性白血病におけるクロラムブシル
CHLORAMBUCIL IN INDOLENT CHRONIC LYMPHOCYTIC LEUKEMIA

G. DIGHIERO AND OTHERS

背景

クロラムブシル治療が無症候性慢性リンパ性白血病(CLL)患者に利益をもたらすか否かを明らかにするため,未治療のステージ A CLL 患者 1,535 人において二つの無作為臨床試験を実施した.

方 法

最初の試験では,患者 609 人を無作為割付けしてクロラムブシルの毎日投与または治療なしのいずれかを行った;第二の試験では,患者 926 人を無作為割付けしてクロラムブシルの間欠投与+プレドニゾンまたは治療なしのいずれかを行った.最初および 2 回目の臨床試験の追跡期間の中央値はそれぞれ,11 年および 6 年を上回った.エンドポイントは総生存率,治療に対する効果,そして疾患の進行であった.

結 果

いずれの試験においても無症候性 CLL の治療は生存率を向上しなかった.治療群では,無処置群と比較して,最初の臨床試験では死亡の相対危険度は,1.14(95%信頼区間,0.92~1.41;p = 0.23),そして 2 回目の臨床試験では 0.96(95%信頼区間,0.75~1.23;p = 0.74)で,それぞれ患者の 76%および 69%が療法に反応した.クロラムブシルは疾患の進行を遅らせたが,総生存率に効果はなかった.最初の試験の無処置群では,患者の 49%がより重度の疾患への進行を示さず,11 年以上の追跡後でも治療を必要としなかった;しかし,ステージ A CLL の患者の 27%が疾患に関連する原因で死亡した.

結 論

クロラムブシルはステージ A CLL 患者の生存を延長しなかった.ステージ B または C に進行するまで治療を延期しても生存に影響することはないため,無症候性 CLL の治療は不要である.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 1998; 338 : 1506 - 14. )