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June 11, 1998 Vol. 338 No. 24

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幼少期発症型発作の長期予後
LONG-TERM PROGNOSIS OF SEIZURES WITH ONSET IN CHILDHOOD

M. SILLANPÄÄ AND OTHERS

背景

幼少期に始まる発作の長期予後は確定していない.

方 法

われわれは,フィンランド,トゥルクのトゥルク大学病院の通院圏内に住み,1961 ~ 64 年に活動型てんかんと診断された小児 245 人をプロスペクティブに調べた.患者 68 人(28%)が特発性発作(遺伝的原因を有すると思われる),54 人(22%)が原因不明の発作(明確な原因のない,どちらかと言えば正常な人に起る),そして123 人(50%)が遠隔症候性発作(直接的な原因はないが,以前に脳の損傷を受けたことがある人または静的脳障害の人に起る)であった.

結 果

1992 年の最終追跡調査では,患者 220 人(90%)について十分なデータが得られ,そのうち 176 人が生存,44 人が死亡した; 残る 25 人は移住のため追跡不可能,もしくは参加を辞退した.死亡した患者の 39 人が死亡時発作がなかったわけではなく,33 人が遠隔症候性発作を起していた.生存患者の中で,抗てんかん薬を服用していない 83 人(47%)を含む 112 人(64%)が少なくとも 5 年間発作を起していなかった.少なくとも 5 年のあいだ無発作でいることのもっとも重要な予測因子は,治療に対する迅速な反応(治療開始後 3 ヵ月以内で発作発生率 75 ~ 100%の減少として定義)そして特発性発作の診断であった.マッチさせた対照群と比較すると,てんかんを有するがその他の初期神経学的障害がない患者 99 人は,同様の社会経済学的状態で,12 年就学後に受けた試験の合格率も同様であった.しかし,有意に多くの患者が 6 年の就学を終えたに過ぎず(相対危険度 2.13),職がなく(相対危険度,3.76),未婚で(相対危険度 3.50),そして子供がいなかった(相対危険度 3.00).

結 論

幼少期にてんかんである患者の大多数は,成人になる頃までに発作を起さなくなるが,社会および教育問題のリスクが増大する.てんかんが寛解しない患者もまた,死亡のリスクが増大する.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 1998; 338 : 1715 - 22. )