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January 29, 1998 Vol. 338 No. 5

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原発性肺高血圧症における長期エポプロステノール(プロスタサイクリン)療法による肺血管抵抗の減少
REDUCTION IN PULMONARY VASCULAR RESISTANCE WITH LONG-TERM EPOPROSTENOL (PROSTACYCLIN) THERAPY IN PRIMARY PULMONARY HYPERTENSION

V.V. MCLAUGHLIN, D.E. GENTHNER, M.M. PANELLA, AND S. RICH

背景

原発性(特発性)肺高血圧症は,進行性の致命的疾患である.抗凝固剤および血管拡張剤による従来の治療は,ある種の患者では症状および生存を改善するが,疾患を治癒できるという証拠はない.

方 法

われわれは,進行した原発性肺高血圧症患者において,エポプロステノール(プロスタサイクリン)静注による長期療法(すなわち 1 年以上)の効果を評価した.ベースライン評価には,アデノシン静注に対する肺血管拡張の評価を含めた.エポプロステノールの用量は,最大耐用量まで毎月増加した.症状の改善,運動能力,そして血行動力学的変数の測定によって,長期療法を評価した.

結 果

原発性肺高血圧症患者 27 人を平均(±SD)で 16.7±5.2 ヵ月にわたって評価した.アデノシン静注は,肺血管抵抗にさまざまな効果を及ぼした(平均減少,27%;範囲,0~56;p<0.001).エポプロステノール療法を開始し,注入速度を毎月,平均で 2.4 ng/kg 体重/分増加させた.患者 27 人中 26 人では,症状および血行動力学的測定値が改善し,全体として,肺血管抵抗は再試験時には 53%低下して 7.9±3.8 抵抗単位となった(p<0.001).エポプロステノールの長期効果は,1 人を除く患者全員においてアデノシンに対する短期の肺血管拡張反応より大きかった.アデノシンに反応した肺血管拡張が最小であった(抵抗単位の平均減少,<20% )患者 8 人においても 7 人では,エポプロステノールで治療すると肺血管抵抗が有意に低下した(平均,39±14%;p=0.002).

結 論

原発性肺高血圧症では,エポプロステノールによる長期療法は,アデノシン静注による短期療法において得られた値以下に肺血管抵抗を低下させる.エポプロステノールは,この疾患において持続的な有効性を有するように思われる.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 1998; 338 : 273 - 7. )