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February 5, 1998 Vol. 338 No. 6

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急性呼吸窮迫症候群における防御的換気戦略の死亡率に及ぼす効果
EFFECT OF A PROTECTIVE-VENTILATION STRATEGY ON MORTALITY IN THE ACUTE RESPIRATORY DISTRESS SYNDROME

M.B.P. AMATO AND OTHERS

背景

急性呼吸窮迫症候群の患者では,機械的人工換気のさいの,広範囲に及ぶ肺胞虚脱と周期的な肺再開口そして過剰膨満が,肺胞の損傷を持続させる可能性がある.われわれは,急性呼吸窮迫症候群患者において,そのような肺損傷を最小限に留めるようデザインされた換気戦略が,肺合併症のみならず,28 日での死亡率をも低下させるか否かを明らかにした.

方 法

全員が同一の血行力学的および通常のサポートを受けている,初期急性呼吸窮迫症候群患者 53 人(既に記述した 28 人を含む)を無作為割付けして,従来のまたは防御的な機械的人工換気を行った.従来の換気は,許容可能な酸素飽和に必要な最低の終末呼気陽圧(PEEP)を維持する戦略に基づいており,1 回換気量を 12 ml/kg 体重および動脈炭酸ガス分圧を正常(35~38 mmHg)とした.防御的換気には,終末呼気圧が静止換気圧–換気量曲線上で下変曲点より大きいこと,1 回換気量が 6 ml/kg 未満,駆動圧は PEEP 値以上 20 cmH2O 未満,高炭酸ガス症の容認,そして圧制限換気モードの選択的使用が含まれた.

結 果

28 日後死亡したのは,防御的換気群では患者 29 人中 11 人(38%)であったのに対し,従来の換気群では 24 人中 17 人(71%)であった(p<0.001).機械的人工換気を外せる率は防御的換気群では 66%,そして従来の換気群では 29%であった(p=0.005);防御的換気群では,より高い PEEP と平均的な気道圧を用いたにもかかわらず,臨床的気圧性外傷の発生率はそれぞれ,7%および 42%であった(p=0.02).退院までの生存には有意差を認めなかった;院内で死亡したのは,防御的換気群では患者 29 人中 13 人(45%)であったのに対し,従来の換気群では 24 人中 17 人(71%,p=0.37)であった.

結 論

急性呼吸窮迫症候群患者において,従来の換気と比較すると,防御的戦略では,28 日での生存が改善し,機械的人工換気を外せる率がより高く,そして気圧性外傷の発生率がより低かった.しかし,防御的換気で,退院までの生存率がより高くはならなかった.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 1998; 338 : 347 - 54. )