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February 5, 1998 Vol. 338 No. 6

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熱傷損傷による死亡確率の客観的推計
OBJECTIVE ESTIMATES OF THE PROBABILITY OF DEATH FROM BURN INJURIES

C.M. RYAN AND OTHERS

背景

過去 20 年のあいだに,熱傷センターで治療した患者の生存の見込みは著しく改善した.死亡する確率を客観的に推定する単純で正確なシステムがあれば,患者のカウンセリングおよび医学的決定を下すさいに有用となるだろう.

方 法

われわれは,ボストンのマサチューセッツ総合病院およびシュライナーズ熱傷研究所に 1990~94 年のあいだに入院した急性熱傷損傷患者 1,665 人全員のレトロスペクティブな再調査を実施した.ロジスティック回帰分析を用いて,最少セットの明確な変数に基づく死亡率の予測に関する確率推計を開発した.得られた死亡率公式を用いて,死亡率の変化が 1984 年以降起ったか否かを明らかにし,1995 年または 1996 年に入院した急性熱傷損傷患者 530 人全員についてこの推計をプロスペクティブに試験した.

結 果

患者 1,665 人(平均 [±SD] 年齢,21±20 歳;平均熱傷サイズ,体表面積の 14±20%)中,1,598 人(96%)が生存して退院した.平均入院日数は 21±29 日であった.死亡に関する三つの危険因子を確認した:年齢 60 歳以上,体表面積の 40%以上の熱傷,そして吸入熱傷.われわれが開発した死亡率の公式は三つの危険因子がゼロ,一つ,二つ,または三つ存在するか否かに応じてそれぞれ,死亡率が 0.3%,3%,33%,またはおよそ 90%と予測した.公式のプロスペクティブ試験の結果も同様であった.蘇生を選択しなかった患者集団の大きな増加により,経時的な死亡率の比較が複雑となった.

結 論

熱傷後の死亡確率は低く,単純な,客観的臨床基準に基づいて,損傷後速やかに予測することが可能である.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 1998; 338 : 362 - 6. )