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February 12, 1998 Vol. 338 No. 7

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近位深部静脈血栓症患者の肺動脈塞栓症予防における大静脈フィルターに関する臨床試験
A CLINICAL TRIAL OF VENA CAVAL FILTERS IN THE PREVENTION OF PULMONARY EMBOLISM IN PATIENTS WITH PROXIMAL DEEP-VEIN THROMBOSIS

H. DECOUSUS AND OTHERS

背景

近位深部静脈血栓症患者の肺動脈塞栓症予防における大静脈フィルターの有効性および安全性はなお,論争の種である.

方 法

2×2 要因デザインを用いて,肺動脈塞栓症のリスクを有する近位深部静脈血栓症患者 400 人を,大静脈フィルターを留置する群(200 人)と留置しない群(200 人),そして低分子量ヘパリンを投与する群 (エノキサパリン,195人) と未分画ヘパリンを投与する群(205 人)に無作為に割り付けた.再発性静脈血栓塞栓症,死亡,そして大出血の発生率を 12 日目および 2 年目に分析した.

結 果

12 日目に,症候性または無症候性の肺動脈塞栓症を示したのは,フィルター留置群では 2 人(1.1%)であったのに対し,非留置群では 9 人(4.8%)であった(オッズ比,0.22;95%信頼区間,0.05~0.90).2 年目では,再発性深部静脈血栓症を示したのは,フィルター留置群で 37 人(20.8%),非留置群で 21 人(11.6%)であった(オッズ比,1.87;95%信頼区間,1.10~3.20).死亡率またはその他の転帰では有意差を認めなかった.12 日目では,症候性または無症候性肺動脈塞栓症を示したのは,低分子量ヘパリン群では 3 人(1.6%)であったのに対し,未分画ヘパリン群では 8 人(4.2%)であった(オッズ比,0.38;95%信頼区間,0.10~1.38).

結 論

近位深部静脈血栓症の高リスク患者では,肺動脈塞栓症の予防に対する大静脈フィルターの当初の有益な効果は,再発性の深部静脈血栓症の増加と相殺されたが,死亡率に差はなかった.今回のデータはまた,低分子量ヘパリンが未分画ヘパリンと同程度に肺動脈塞栓症予防に有効であり,安全であることを確認した.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 1998; 338 : 409 - 15. )