The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み

日本語アブストラクト

February 26, 1998 Vol. 338 No. 9

Share

Share on Facebook
Facebookで共有する
Share on Twitter
Twitterでつぶやく
Share on Note
noteに投稿する

RSS

RSS

前立腺肥大症患者における急性尿閉のリスクと手術治療の必要性に及ぼすフィナステリドの効果
THE EFFECT OF FINASTERIDE ON THE RISK OF ACUTE URINARY RETENTION AND THE NEED FOR SURGICAL TREATMENT AMONG MEN WITH BPH

J.D. MCCONNELL AND OTHERS

背景

フィナステリドは,前立腺肥大症患者の尿路症状を改善することが知られているが,その利益がどの程度まで持続するか,そして手術の必要性および急性尿閉の発症を含めた関連イベントの発生率をフィナステリドが減少させるか否かはわかっていない.

方 法

この二重盲検無作為プラセボ対照臨床試験において,中等度から重度の尿路症状を有する前立腺肥大症患者 3,040 人を,フィナステリド毎日 5 mg またはプラセボで 4 年間治療して調べた.症状スコア(尺度 1~34),尿流率,および転帰イベントの発生を患者 3,016 人について 4 ヵ月ごとに評価した.前立腺容積は患者のサブグループにおいて測定した.転帰に関する完全なデータは患者 2,760 人について利用可能であった.

結 果

4 年の試験期間のあいだに,プラセボ群の患者 1,503 人中 152 人(10%)およびフィナステリド群の患者 1,513 人中 69 人(5%)が,前立腺肥大症のために手術を受けた(フィナステリドによるリスク減少,55%;95%信頼区間,41~65%).急性尿閉は,プラセボ群では患者 99 人(7%)そしてフィナステリド群では患者 42 人(3%)に起った(フィナステリドによるリスク減少,57%;95%信頼区間,40~69%).試験を終了した患者の中で,症状スコアの平均減少は,フィナステリド群で 3.3 およびプラセボ群では 1.3(p<0.001)であった.フィナステリドによる治療はまた,尿流率を有意に改善し,また前立腺容積を有意に減少させた(p<0.001).

結 論

尿閉塞および前立腺肥大の症状を示す患者では,フィナステリドによる 4 年の治療により,症状および前立腺容積が減少し,尿流率が増加し,手術および急性尿閉の可能性が減少する.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 1998; 338 : 557 - 63. )