偽性ビタミン D 欠乏性くる病患者における 25-ヒドロキシビタミン D3 1α-ヒドロキシラーゼ遺伝子の不活性化変異
INACTIVATING MUTATIONS IN THE 25-HYDROXYVITAMIN D3 1α-HYDROXYLASE GENE IN PATIENTS WITH PSEUDOVITAMIN D–DEFICIENCY RICKETS
S. KITANAKA AND OTHERS
偽性ビタミン D 欠乏性くる病は,低カルシウム血症を伴うくる病の早期発病を特徴とし,1α,25-ジヒドロキシビタミン D3 合成の重要な酵素である腎臓の 25-ヒドロキシビタミン D3 1α-ヒドロキシラーゼの欠損によって起ると考えられる.
マウス 1α-ヒドロキシラーゼ cDNA 断片をプローブとして用いて,ヒト 25-ヒドロキシビタミン D3 1α-ヒドロキシラーゼ相補的 DNA(cDNA)をクローニングした.その遺伝子構造を決定し,その染色体上の位置を蛍光 in situ ハイブリダイゼーション法によってマッピングした.次に,偽性ビタミン D 欠乏性くる病で相互に無関係な患者 4 人の 1α-ヒドロキシラーゼ遺伝子における変異を DNA 配列分析によって同定した.正常および変異 1α-ヒドロキシラーゼ蛋白をいずれも COS-1 細胞に発現させ,1α-ヒドロキシラーゼ活性についてアッセイした.
25-ヒドロキシビタミン D3 1α-ヒドロキシラーゼの遺伝子は,染色体 12q13.3 上にマップされ,これは連鎖分析によって偽性ビタミン D 欠乏性くる病の遺伝子座であると先に報告されていた.偽性ビタミン D 欠乏性くる病患者 4 人では,異なる四つのホモ接合ミスセンス変異がこの遺伝子に検出された.調べた非罹患両親と非罹患兄弟 1 人は変異に関してヘテロ接合であった.変異 1α-ヒドロキシラーゼ蛋白の機能的分析により,四つの変異すべてが 1α-ヒドロキシラーゼ活性を失わせることが明らかになった.
25-ヒドロキシビタミン D3 1α-ヒドロキシラーゼ遺伝子における不活性化変異は,偽性ビタミン D 欠乏性くる病の原因である.