The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み

日本語アブストラクト

March 12, 1998 Vol. 338 No. 11

Share

Share on Facebook
Facebookで共有する
Share on Twitter
Twitterでつぶやく
Share on Note
noteに投稿する

RSS

RSS

高リスク女性の子癇前症予防のための低用量アスピリン
LOW-DOSE ASPIRIN TO PREVENT PREECLAMPSIA IN WOMEN AT HIGH RISK

S. CARITIS AND OTHERS

背景

低用量アスピリンが子癇前症を予防するか否かは明確でない.低用量アスピリンの服用は,子癇前症のリスクが低い女性では予防として推奨されないが,リスクの高い女性ではこの疾患の発生率を低下させる可能性がある.

方 法

われわれは,妊娠前からインスリンで治療を受けている糖尿病女性 471 人,慢性高血圧症の女性 774 人,多胎妊娠女性 688 人,そして前回の妊娠時に子癇前症であった女性 606 人からなる,子癇前症のリスクが高い妊娠女性 4 群に対し,二重盲検無作為プラセボ対照臨床試験を実施した.女性は妊娠 13~26 週のあいだに登録し,アスピリン 60 mg またはプラセボのいずれかを毎日投与した.

結 果

試験に参加した女性 2,539 人中 36 人を除く全員について転帰データを得た.子癇前症の発生率は,アスピリン群の女性 1,254 人,プラセボ群 1,249 人で同程度であった(アスピリン,18%;プラセボ,20%;p = 0.23).四つの高リスク分類のそれぞれに対するアスピリンとプラセボの発生率もまた同様であった:妊娠前糖尿病女性では,発生率はアスピリン群で 18%,プラセボ群で 22%であった(p = 0.38);慢性高血圧症の女性では,発生率は 26%と 25%(p = 0.66)であった; 多胎妊娠女性では,12%と 16%(p = 0.10);そして前回の妊娠時に子癇前症であった女性では 17%と 19%(p = 0.47)であった.さらに,周産期死亡,未熟児出産,および妊娠齢に対する低体重児の発生率は,アスピリンとプラセボ群で同程度であった.

結 論

われわれの試験では,低用量アスピリンは,子癇前症のリスクが高い妊娠女性において子癇前症の発生率を有意に低下させず,または周産期転帰を改善しなかった.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 1998; 338 : 701 - 5. )