January 8, 1998 Vol. 338 No. 2
甲状腺機能亢進症に対する治療とグレーヴス眼障害の経過との関連
RELATION BETWEEN THERAPY FOR HYPERTHYROIDISM AND THE COURSE OF GRAVES' OPHTHALMOPATHY
L. BARTALENA AND OTHERS
グレーヴス病の主な臨床的特徴は,甲状腺機能亢進症と眼障害である.この二つの関係ならびに,甲状腺機能亢進症の治療が眼障害に及ぼす影響は不明である.
眼障害が軽度またはまったくないグレーヴス甲状腺機能亢進患者 443 人を無作為割付けし,放射性ヨウ素,放射性ヨウ素投与後にプレドニゾンの 3 ヵ月投与,またはメチマゾールを 18 ヵ月間投与し調査した.甲状腺の機能と外観の変化および眼障害の進行を 1~2 ヵ月ごとに 12 ヵ月間評価した.甲状腺機能低下症および持続的甲状腺機能亢進症はただちに治療した.
放射性ヨウ素治療患者 150 人中,23 人(15%)において治療 2~6 ヵ月後に眼障害が発現または悪化した.患者 15 人では変化は一過性であったが,8 人(5%)では持続し,その後眼疾患に対する治療を必要とした.ベースラインで眼障害のあったこの群の他の患者 55 人はいずれも眼障害の改善を示さなかった.放射性ヨウ素とプレドニゾンで治療した患者 145 人では,ベースラインで眼障害のあった 75 人中 50 人(67%)が改善し,眼障害が進行した患者はなかった.甲状腺機能に及ぼす放射性ヨウ素の効果は,これら 2 群で同程度であった.メチマゾール治療患者 148 人中,ベースラインで眼障害のあった 3 人(2%)が改善し,4 人(3%)が眼障害の悪化を示し,残る 141 人は変化を認めなかった.
グレーヴス甲状腺機能亢進症に対する放射性ヨウ素治療は,メチマゾール治療より,後に眼障害の発現または悪化が起る頻度が高かった.放射性ヨウ素治療後の眼障害の悪化はしばしば一過性で,プレドニゾンの投与によって予防可能である.