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March 19, 1998 Vol. 338 No. 12

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本態性高血圧症患者の血圧に及ぼすエンドセリン受容体拮抗薬ボセンタンの効果
THE EFFECT OF AN ENDOTHELIN-RECEPTOR ANTAGONIST, BOSENTAN, ON BLOOD PRESSURE IN PATIENTS WITH ESSENTIAL HYPERTENSION

H. KRUM, R.J. VISKOPER, Y. LACOURCIERE, M. BUDDE, AND V. CHARLON

背景

エンドセリンは内皮由来の強力な血管収縮ペプチドである.われわれは,エンドセリン受容体拮抗薬であるボセンタンの効果を調べることによって,本態性高血圧症患者における血圧抑制に対するエンドセリンの関与を評価した.

方 法

軽度から中等度の本態性高血圧症患者 293 人を調べた.4~6週間のプラセボ慣らし期間後,患者を無作為割付けしてボセンタンの 4 用量のいずれか(100 mg,500 mg,もしくは 1,000 mg を 1 日 1 回,または 1,000 mg を 1 日 2 回),プラセボ,またはアンジオテンシン変換酵素阻害薬エナラプリル(20 mg を 1 日 1 回)を 4 週間投与した.治療の前と後に血圧を測定した.

結 果

プラセボと比較すると,ボセンタンは 1 日用量 500 mg または 2,000 mg で拡張期血圧を有意に低下させ(各用量で低下の絶対値は 5.7 mmHg),これはエナラプリルによる低下(5.8 mmHg)と同程度であった.心拍数には有意な変化を認めなかった.ボセンタンは,交感神経系(ノルエピネフリン血漿濃度の測定によって決定した)またはレニンアンジオテンシン系(血漿中のレニン活性およびアンジオテンシン II 血漿濃度の測定によって決定した)の活性化を起さなかった.

結 論

エンドセリン受容体拮抗薬であるボセンタンは,本態性高血圧症患者の血圧を有意に低下させ,このことは,エンドセリンがそのような患者の血圧の上昇に関与している可能性を示唆している.ボセンタン治療が血圧に及ぼすこの改善効果は,反射神経ホルモン系を活性化させずに起った.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 1998; 338 : 784 - 90. )