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January 1, 1998 Vol. 338 No. 1

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急性心筋梗塞の早期転帰の男女比較
A COMPARISON OF THE EARLY OUTCOME OF ACUTE MYOCARDIAL INFARCTION IN WOMEN AND MEN

R. MALACRIDA AND OTHERS

背景

これまでの試験では,急性心筋梗塞後の死亡率および主な罹患率の未補正比較により,一般に女性は男性より転帰不良であることが示されている.調べた女性が高齢であったこと,またはその他の不都合な予後因子の存在,またはその両者の理由によって,この差が説明されるか否かを明らかにするには,共存する条件に関してより完全な補正を行ったさらに大規模な試験が必要である.

方 法

第 3 回国際梗塞症生存試験(ISIS-3)の一部として,フィブリン溶解療法に対する明らかな適応を有すると思われる急性心筋梗塞が疑われる女性 9,600 人および男性 26,480 人について,35 日までの入院期間中の 0~35 日までの死亡および主な臨床イベントに関する情報を収集した.われわれは,最初は補正なしで,次に年齢に関して補正し,そして最終的に,重ロジスティック回帰を用いて他に記録したベースライン特徴に関して補正して,男女の転帰を比較した.

結 果

男性と比較した女性の死亡の未補正オッズ比は 1.73(95%信頼区間,1.61~1.86)であった.女性は男性より有意に高齢であったため,年齢に関する補正後のオッズ比は著しく減少して 1.20(95%信頼区間,1.11~1.29)となった.ベースラインでの臨床特徴のその他の差について補正したところ,さらにオッズ比は減少して 1.14(95%信頼区間,1.05~1.23)となった.女性ではその他の主な臨床イベントが多いことも,概して補正によって同程度減少した.

結 論

女性であることと,急性心筋梗塞が疑われた後の早期死亡率および罹患率とのあいだにはせいぜいわずかな独立した関連があるにすぎないように思われる.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 1998; 338 : 8 - 14. )