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October 22, 1998 Vol. 339 No. 17

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1 個の HLA ハプロタイプのみが一致した完全ミスマッチの血縁ドナーからの T 細胞除去幹細胞による高リスク急性白血病の治療
TREATMENT OF HIGH-RISK ACUTE LEUKEMIA WITH T-CELL–DEPLETED STEM CELLS FROM RELATED DONORS WITH ONE FULLY MISMATCHED HLA HAPLOTYPE

F. AVERSA AND OTHERS

背景

本試験において,われわれは,レシピエントとの HLA ハプロタイプの一致が一つのみであるドナー(完全ハプロタイプミスマッチ)からの造血幹細胞を用いて急性白血病患者の移植を成功させることを試みた.移植失敗を防止するために,強力骨髄アブレーション(除去)および免疫抑制のコンディショニングレジメをレシピエントに行った後に,大量の T 細胞除去造血幹細胞を移植した.

方 法

移植を予定している高リスク急性白血病患者 43 人に,全身放射線照射,チオテパ,フルダラビン,および抗胸腺細胞グロブリン投与を行った.移植片は,組換え型顆粒球コロニー刺激因子によってドナーにおいて動員された末梢血前駆細胞からなり,28 例では,骨髄も含まれた.大豆アグルチニンおよび E ロゼット形成処理によって,ドナーの骨髄から T リンパ球を除去した.末梢血単核球の T 細胞除去は,E ロゼット形成によって行い,その後 CD34 + 細胞の陽性選択を行った.移植片対宿主病(GVHD)に対する移植後予防は行わなかった.

結 果

患者全員において,完全なドナー型の生着が得られた.評価可能な患者で,急性または慢性 GVHD を発症した患者はなかった.治療関連毒性は軽微であった.急性リンパ芽球性白血病患者では 23 人中 11 人が再発したのに対し,急性骨髄性白血病患者では 20 人中 2 人であった.移植関連死亡率は 40%であった.追跡調査期間の中央値である 18 ヵ月後(範囲,8~30 ヵ月)では,患者 43 人中 12 人が生存しており,無病であった.生存患者は全員,良好な QOL を示した.

結 論

レシピエントとの HLA ハプロタイプのマッチが一つのみであるドナーからの骨髄の移植の主な限界-GVHD と移植の失敗-は克服することができる.ほとんどの患者に,一つのハプロタイプミスマッチを示す血縁者がいるため,この方法を発展させれば,急性白血病に対する治癒的療法としての造血細胞移植の利用が増加するだろう.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 1998; 339 : 1186 - 93. )