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October 29, 1998 Vol. 339 No. 18

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正常血圧および高血圧の被験者におけるアンジオテンシン変換酵素阻害薬に対する反応に及ぼすブラジキニン受容体阻害薬の影響
EFFECT OF BRADYKININ-RECEPTOR BLOCKADE ON THE RESPONSE TO ACE INHIBITOR IN NORMOTENSIVE AND HYPERTENSIVE SUBJECTS

J.V. GAINER, J.D. MORROW, A. LOVELAND, D.J. KING, AND N.J. BROWN

背景

アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤は,アンジオテンシン II の産生を減少させるのみならず,ブラジキニンの分解を減少させる.本試験では,特異的ブラジキニン受容体拮抗薬であるイカチバント酢酸塩(HOE 140)を用いて,正常血圧および高血圧の被験者における,血圧および血漿レニン活性に及ぼす ACE 阻害の短期効果に対するブラジキニンの関与を明らかにした.

方 法

カプトプリル単独(25 mg),カプトプリル+イカチバント(100 μg/kg 体重),アンジオテンシン II サブタイプ 1 受容体拮抗薬であるロサルタン(75 mg),プラセボの,血行動態,腎,内分泌系に及ぼす効果を,正常血圧の被験者 20 人と高血圧症被験者 7 人において比較した.被験者は,試験中塩分を控えた(すなわち,1 日 10 mmol までのナトリウムの摂取が許される食事).薬物は単盲検無作為方式で異なる試験日に 4 回投与した.

結 果

イカチバントを同時投与すると,カプトプリルの血圧下降作用は有意に減弱したが(すべての被験者での平均動脈圧[±SE]の最大減少は 10.5±1.0 mmHg であったのに対し,カプトプリル単独では 14.0±1.0 mmHg であった;p = 0.001),カプトプリル+イカチバントの投与後の血圧の低下はロサルタン投与後の低下と同程度であった(平均動脈圧の最大減少,11.0±1.7 mmHg).イカチバントはカプトプリルに対する腎臓の血行動態反応を変化させなかったが,ACE 阻害に反応した血漿レニン活性の変化を有意に変化させた(アンジオテンシン I の -0.4±0.4 ng/mL/時に対し,カプトプリル単独では 2.0±0.7 ng/mL/時;p = 0.007).これらの効果の大きさは,正常血圧被験者と高血圧被験者のいずれにおいても同程度であり,また黒人被験者と白人被験者においても同様であった.

結 論

これらのデータは,正常血圧者および高血圧症患者において,ブラジキニンが,ACE 阻害が血圧に及ぼす短期効果に関与することを確認し,ブラジキニンはまた ACE 阻害がレニン–アンジオテンシン系に及ぼす短期効果にも関与することを示唆する.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 1998; 339 : 1285 - 92. )