運動誘発喘息に及ぼすサルメテロール長期治療の効果
EFFECT OF LONG-TERM SALMETEROL TREATMENT ON EXERCISE-INDUCED ASTHMA
J.A. NELSON AND OTHERS
サルメテロールの長期投与により,メタコリンやアデノシンのような実験的喘息誘発剤に対する,サルメテロールがもたらす防御の程度が減少する可能性がある.この影響が,運動をはじめとする臨床的に重要な刺激に及ぶか否かはわかっていない.
運動誘発喘息患者 20 例において,無作為化二重盲検クロスオーバー臨床試験を実施した.各患者にサルメテロールまたはプラセボを 1 日 2 回 1 ヵ月間吸入投与し,治療間に 1 週間のウォッシュアウト期間を設けた.患者は,試験 1 日目,14 日目,29 日目の朝の投与 30 分後と 9 時間後に,冷気吸入下に自転車エルゴメーター運動負荷試験を行った.主要エンドポイントは,運動 10 分後の 1 秒量(FEV1)低下率とした.
プラセボでは,有意な気道狭窄がすべての時点で生じた(ベースラインからの FEV1 低下率の平均値 [±SE]:朝 19±2%,夕方 18±2%).サルメテロールの朝の投与により,気管支収縮の程度はすべての時点で抑制された(1 日目の FEV1 低下率 5±2%,14 日目 10±3%,29 日目 9±3%;p=0.10).しかし,1 日中作用する能力は,長期投与により低下した(1 日目の朝から夕方までの FEV1 低下率 6±2%,14 日目 15±3%,29 日目 14±3%;p=0.003).
運動誘発喘息に対する防御効果はサルメテロールを長期投与しても維持されるが,1 回投与後の作用期間は短くなる.