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November 12, 1998 Vol. 339 No. 20

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米国とカナダにおける頸動脈内膜切除の実施数の減少と増加
THE FALL AND RISE OF CAROTID ENDARTERECTOMY IN THE UNITED STATES AND CANADA

J.V. TU AND OTHERS

背景

無作為臨床試験により,外科的に優れた地域の施設で技法を実施すれば,卒中発作の予防に頸動脈内膜切除が有効であることが証明された.しかし,米国およびカナダにおける頸動脈内膜切除の実施率に及ぼすこれらの試験の相対的な効果はわかっていない.

方 法

われわれは,米国カリフォルニア州とニューヨーク州およびカナダのオンタリオ州において,1983~95 年のあいだに頸動脈内膜切除の年間実施率を計算した.また,1990 年代初期の患者が,多くの手術を行い,院内死亡率が歴史的に低い病院に選択的に紹介されているか否かについても調べた.

結 果

頸動脈内膜切除の実施率は,頸動脈内膜切除術の合併症発生率が容認できないほど高いことを示す研究が発表された後,1984 から 89 年で三つの地域すべてにおいて減少した(カリフォルニア州では 40 歳以上の成人 100,000 人あたり 126 人から 66 人,ニューヨーク州では,100,000 人あたり 65 人から 40 人,およびオンタリオ州では 100,000 人あたり 40 人から 15 人).しかし,頸動脈内膜切除の利益を示した 1990 年代の臨床試験により,1989 から 95 年のあいだの技法の実施率は劇的に復活した(カリフォルニア州では 100,000 人あたり 66 人から 99 人,ニューヨーク州では 100,000 人あたり 40 人から 96 人,そしてオンタリオ州では 100,000 人あたり 15 人から 38 人).これらの実施率の増加は,死亡率が低い病院に紹介された患者数の比例的な増加には関連しなかった.

結 論

米国およびカナダではともに,頸動脈内膜切除術の実施率は劇的に減少しそしてまた上昇したが,これは,最初の好ましからぬ臨床試験およびその後の好ましい臨床試験が発表されたことと相関する.死亡率の低い病院へ患者が選択的に紹介されなかったため,一般集団における頸動脈内膜切除の利益が臨床試験において証明されたものと同程度であるか否かは疑問である.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 1998; 339 : 1441 - 7. )