December 3, 1998 Vol. 339 No. 23
急性骨髄性白血病の初回寛解期の管理としての自家骨髄移植または同種骨髄移植と化学療法との比較
CHEMOTHERAPY COMPARED WITH AUTOLOGOUS OR ALLOGENIC BONE MARROW TRANSPLANTATION IN THE MANAGEMENT OF AML IN FIRST REMISSION
P.A. CASSILETH AND OTHERS
急性骨髄性白血病の若い成人では,初回寛解期に集中化学療法を行うと長期転帰が改善するが,骨髄移植の役割は明確でない.われわれは,急性骨髄性白血病の初回寛解期の治療として,高用量シタラビン投与を,自家骨髄移植または同種骨髄移植与を比較した.
治療歴のない 16~55 歳の急性骨髄性白血病の青年および成人に,標準的な導入化学療法を行った.完全寛解が得られた後,イダルビシン(2 日)およびシタラビン(5 日)を投与した.組織適合同胞がいる患者には同種骨髄移植を行い,残りの患者は無作為割付けして,高用量シタラビンを 1 コースまたはペルホスファミド(4-hydroperoxycyclophosphamide)で処置した自家骨髄移植を行った.同種骨髄移植,自家骨髄移植とも,前処置レジメンとしてブスルファンの経口投与とシクロホスファミドの静脈内投与を用いた.エンドポイントは完全寛解時以降の生存と無病生存とした.
intention-to-treat 分析では,高用量化学療法を行った患者,自家骨髄移植を行った患者,同種骨髄移植を行った患者のあいだで,無病生存率に有意差を認めなかった.追跡期間の中央値は 4 年であった.完全寛解後の生存は,化学療法後のほうが自家骨髄移植後よりもいくぶん良好であった(p=0.05).全生存率に関しては,化学療法に,同種骨髄移植との比較で境界域の利益が認められた(p=0.04).
急性骨髄性白血病の成人において,高用量シタラビンによる導入後治療は,自家骨髄移植と同等の無病生存率をもたらし,自家骨髄移植よりいくぶん良好な全生存率をもたらすことができる.