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December 10, 1998 Vol. 339 No. 24

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母体血漿の分子分析による胎児 RhD 状態の出生前診断
PRENATAL DIAGNOSIS OF FETAL RhD STATUS BY MOLECULAR ANALYSIS OF MATERNAL PLASMA

Y.M.D. LO AND OTHERS

背景

胎児 RhD 状態を非侵襲的に決定できるか否かは,パートナーが RhD 遺伝子へテロ接合である RhD 感作妊娠女性の治療に有用である.近年,母体血漿中に胎児 DNA が存在することが証明されたことにより,母体血漿を利用して胎児 RhD 遺伝子タイピングができるかもしれないという可能性が高まっている.

方 法

RhD 陰性妊娠女性 57 人とその単胎胎児を調べた.一つの細胞中の RhD 遺伝子の検出に十分な感度を有する螢光ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)試験によって,母体血漿から抽出した DNA の RhD 遺伝子の有無を分析した.胎児 RhD 状態は,臍帯血の血清分析または羊水の PCR 分析によって直接決定した.

結 果

RhD 陰性女性 57 人中,12 人が妊娠の第一トリメスターで,30 人が第二トリメスター,そして 15 人が第三トリメスターであった.胎児 39 人が RhD 陽性で,18 人が RhD 陰性であった.妊娠の第二または第三トリメスターの女性から得たサンプルでは,母体血漿 DNA の RhD PCR 分析の結果は,血清分析の結果と完全に一致した.第一トリメスターで採取した母体血漿サンプルでは,2 サンプルに RhD DNA が含まれていなかったが胎児は RhD 陽性であった;その他の 10 サンプルでの結果は一致した(7 人は RhD 陽性,そして 3 人は RhD 陰性).

結 論

非侵襲性胎児 RhD 遺伝子タイピングは,妊娠の第二トリメスター以降の母体血漿を用いて迅速かつ確実に実施することができる.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 1998; 339 : 1734 - 8. )