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December 17, 1998 Vol. 339 No. 25

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高活性抗レトロウイルス療法を受けた男性の精液中のヒト免疫不全ウイルス 1 型
HUMAN IMMUNODEFICIENCY VIRUS TYPE 1 IN THE SEMEN OF MEN RECEIVING HIGHLY ACTIVE ANTIRETROVIRAL THERAPY

H. ZHANG AND OTHERS

背景

高活性抗レトロウイルス療法は,感染男性の末梢血の血漿中と精液中のヒト免疫不全ウイルス 1 型(HIV-1)のウイルス粒子の濃度を効果的に低下させる.高活性抗レトロウイルス療法を受けて末梢血の血漿中にウイルスが検出されなくなった HIV-1 感染男性の生殖管が,複製能のあるウイルスの住処になっているかどうかということは不明である.

方 法

高活性抗レトロウイルス療法を受けて血漿中にウイルス RNA が検出されなくなった(50 コピー/mL 未満)HIV-1 感染症の 7 人の男性から末梢血と精液の検体を採取し,細胞に結合したプロウイルスの DNA を分析するために,その検体を定量的なポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を用いて分析した.複製能のあるウイルスの評価は,細胞の共存培養法によって行った.末梢血と精液の細胞から得られたプロウイルスの DNA と複製能のあるウイルスの分析は,適切なウイルス遺伝子の塩基配列を決定することによっても行った.

結 果

この 7 人の男性では,血漿中では HIV-1 の RNA が長期間抑えられていたにもかかわらず,プロウイルスの DNA が 4 人の精液細胞で検出された.複製能のあるウイルスは 3 人の末梢血から回収され,この 3 人中 2 人では精液細胞からも複製能のあるウイルスが回収された.精液細胞から回収されたウイルスには,抗レトロウイルス薬に対する耐性が獲得されていることを示すような遺伝子型の突然変異は認められず,マクロファージに対する親和性を認め,これは,性行為によって伝播しうる HIV-1 株の特徴である一つの性質である.

結 論

高活性抗レトロウイルス療法を受けて血漿中のウイルス RNA 濃度が検出限界以下になっている HIV-1 感染男性では,そのウイルスが精液細胞に存在していることがあるので,性行為によって伝播し得る可能性があるかもしれない.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 1998; 339 : 1803 - 9. )